勤労感謝の日に「音楽にありがとう!」

勤労感謝の日は新嘗祭を起源としている。
新嘗祭は五穀豊穣を祝う収穫祭だ。
僕はこの日に、今年の自らの生産性を振り返った。
ところが、気が付くと自らの半生を振り返っていた。
それは、音楽と密接に関わってきた歴史だった。

10代から20代前半は音楽漬けだった。
自分の中に音楽を貪欲に取り込み、自らの感情も楽器で表現した。
音楽は実社会とは別の場所にある「ユートピア」のように感じていた。

社会人になると、これまで自分がいた場所の対岸から川の流れを見ているのに気が付いた。
相変らず音楽は聞いている。
でも、もう対岸には行けないと感じた。
音楽はやがて感情のタイムラインから姿を消していった。

すべての時間は仕事に繋がっていた。
その成果として仕事を楽しむ幸せを手に入れた。
ただ、心の糸はいつでもピンと張られていた。
いつの間にか、糸を緩めないことも仕事になっていた。
気を休めることを忘れ、体内からは色が失われていった。

Perfumeに出会った時、不覚にもその糸が緩んでしまった。
そして、身体の中にカラフルな濁流が流れ込んできた。
20年ぶりに音楽に溺れた。
音楽と一緒に懐かしく温かい感情が次々と蘇ってきた。
涙がこみ上げ、体内に血が通っているのを実感した。
幸せで鳥肌が立った。
これらを押し込めることはもうできないと思った。
それから8年、仕事と音楽がシナジーを生み出してきた。
音楽は「ユートピア」ではなく、実社会で生産性を高めるものだった。
それを理解できるタイミングまで、音楽は僕を待っていてくれたのだろうか。

50歳になり、社会人としての最終フレーズに差し掛かってきた。
新たな創造にチャレンジしたいという意欲に満ちている。
僕にとって最後のスタートラインかもしれない。
これまでの経験を活かして綿密に企画し、そして行動する。
時間がないので身体を酷使する。
神経を研ぎ澄ませて、意識も作業も集中しようとする。
音楽がまた遠ざかっていくのを感じる。
何という皮肉だろう。

でも、僕は決して忘れない。
Perfumeに出会った時の、あの温かさを。
それを忘れない限り乗り越えられる。
たとえ音楽を聴く時間がなくても、音楽は身体の中にしっかりと根を張っている。

上海の出張から戻ったばかりの久々の休日。
僕はピアノの前に座ると『マカロニ』を弾いた。
Perfumeへの、そして音楽への感謝の気持ちを込めて。





 

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