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おかえり!

東京ドーム。
まだ公演が始まったばかりだと言うのに、感極まって大泣きしている男がいる・・・


元々彼は、相手を気に掛け、相手を理解したいと願い、思いやる、いわゆる”いいヤツ”だったが、周囲からは”重たい”と敬遠されることが多かった。
やがて彼は、本当の自分にフタをし、ライトな周囲に合せるようになっていった。
表面のスマートさとは裏腹に、彼の心は孤独感で埋め尽くされていった。
そんな彼が逃げ込んだのがNETだった。


匿名がまかり通るNETでは、本音の会話ができる上に、面倒くさくなったら強制的に関係を断ち切ればよい。
割り切ってしまえばこんなに楽になれるのか!
最初から求めなければよかったのだ。


彼がPerfumeを知ったのはそんな頃だった。
曲が最高によかった。
しかし、Perfumeがライヴでさえもリップシンクなのだと聞いてがっかりした。
それが、Perfumeの魅力を引き出す高度なテクニックだと、頭では理解しても、騙されたような感覚が拭い切れなかった。
それをきっかけにして、風変わりな衣装やダンス、アイドルにしては普通な外見、天然系のトークにもイチイチ反発したくなった。


彼はある掲示板にそのPerfumeの印象を真面目に書いて投稿した。
すると、熱狂的なファンから続々とレスがついた。
Perfumeの良さを切々と訴える長文の数々。
彼にはその必死さが重たく感じ、理解もできなかった。
(たかがアイドルじゃないか!)
やがて、このリアクションを積極的に楽しむようになっていった。


彼のネガキャンに対するPerfumeファンのレスポンスの良さは目を見張った。
テクノポップという響きとは反対に、Perfumeファンの意外とアナログなところが滑稽でもあった。
叩けば叩くほど盛り上がる。
盛り上がったところで、すっと彼らを置き去りにする。
彼は、自分の記事に大勢が踊らされている光景を楽しんだ。

しかし・・・

ある時から、ピタッとリアクションがなくなった。
ファン達が何か手を打ったのだろう。
ハンドルを変えても、板を変えても、過激にしても、全く効果はなかった。
彼はNETで完全に孤立してしまった。
再び訪れた孤独。
彼はもがき続けたが、彼の投稿にレスが付くことは二度となかった。


その日、彼は自身のblogに一言だけの記事を投稿した。

「どこからこんな風になってしまったのだろう」

しばらくの間、ぼんやりその記事を見ていると、孤独と空虚が交互に打ち寄せてきた。
10分後、彼は予定通りに、この記事を最後にblogを閉鎖し、blogサービスから退会した。


翌朝、彼は赤く腫れた目をこすりながらPCを立ち上げた。
彼のblogを開いてみると「お探しのページを表示できません。」というエラーメッセージが。
(これからは何を拠り所にして生きていけばいいのだろう・・・)


PCの電源を落とそうとした時、フリメに1通の着信を知らせる「1」という赤い数字が点灯しているのに気が付いた。
受信箱を見ると、なんと「FC3 blog 新着コメントのお知らせ」。
そんな馬鹿な!
受信時間を見ると、なるほど、退会する直前に滑り込んだコメントのようだった。
開いてみると、たった一言のコメントだった。

「まだ間に合うから(^^)/」

コメント主のハンドルには見覚えがあった。
ある掲示板でいつもPerfumeを熱く語る住人の一人だ。
(僕は敵じゃないのかい?・・・)
コメントの文字がじわっと滲んだ。
(昨夜、あの記事を読んで、大急ぎでコメントしてくれたんだね・・・)
嗚咽が止まらなくなった彼を、温かくて大きなものが包み込んでいった。



東京ドーム。
まだ公演が始まったばかりだと言うのに、感極まって大泣きしている男がいる。
彼が、少し前まではPerfumeを叩いていたなんて、いったい誰が想像できようか。


しかし、意外とここには同じような人がいるのかも知れない。
救われたことへの感謝を伝えるために。
この輪の中に加われた喜びをぶつけるために。
そして、人として大切なものを体現するために!!


よく見ると、彼はPerfumeを見て泣いているわけではなかった。
彼が見ているのは、Perfumeとファンの間を埋め尽くし、絶え間なく行き交う輝く粒子だった。

その粒子が

彼自身からも溢れ出ていることに、彼はまだ気づいていない。





**************************************************
この物語はフィクションであり、作者の激しい妄想です(笑)
※同様のフィクションがお好きな方は、左上の「電脳猫の作り物」のどれかをポチッとしたらいいかも(笑)



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コメント

キタ('◇')
久しぶりの作品ですね!electrocatさんのをいつも楽しみに待ってるんですから。これもありそうな話ですね。あ~ちゃんがブログで言ってたように、Perfumeとファンは信じあってます。その力を信じているならば、外の人にも優しくできるんだと思います。
実際、うたの日のPerfuemファンのそういう行動が話題になってましたし。
いつも、後半のクライマックスと最後の一行で泣かされますm(__)mまた早い内にお願いします。完璧にはまってますので(笑
>ゆかにゃんさん
コメントありがとうございます^^

暑い日に暑苦しい文章で申し訳ですm(_ _)m
過分なお言葉、気恥ずかしい限りです(^^;)なんか、純粋で本物の気持ちは裏切らないっていうことを言いたかったんです。パフュのそこに惹かれてますから(^^)/
あまりプレッシャーかけないでくださいね~( ̄∀ ̄;)
人として大切なものを体現するために!!
よい言葉です。

electrocatさんの文章からは粒子が溢れてますよー! しゅごいv(^^)
この彼は
もともとは「相手を気に掛け、相手を理解したいと願」う人であり、
Perfumeの「曲が最高によかった。」と感じることの出来る人でした。
その時点でファンになる素養は十分備えているはずなのですが・・・

多いと思います。こういう人。
純粋であればあるほど、現実との軋轢に耐えかねて、
本当のこころにフタをしてしまう。

熱心なファンと、アンチと名乗って叩きにくる人。
紙一重なんだと思います。
だからこそ最後はわかりあえる。

良い「心の粒子」がもっともっと広がることを願っています。

う~ん、素晴らしい記事でした。(^_^)v
おおぅ
最初の二行で読み手をぐいっと引き込んでしまう技はタダモノではないですね(^^v

素直になれない可哀想な彼、きっと本当は心から通じ合える仲間が欲しかったはずです。
そう、Perfumeというキーワードを通じて。

これは現実に限りなく近いフィクションだと思います。
こういう彼みたいな人は意外と多いのではないのでしょうか。いや、必ずいると思います。
そういった人達と一緒にドームライブに参加したらと思うと私も公演開始直後から大泣きしてしまいそうです(^^;

>「まだ間に合うから(^^)/」
で、かなりこみ上げてきましたv
Perfumeファンはいい人達ばかりですから、なんといってもあ~ちゃんのお墨付きですよ♪(^^v
>ngo900jpさん
コメントありがとうございます^^

Perfumeから溢れる粒子でファンも粒子が溢れて、それでまたPerfumeから粒子が溢れて・・・
そういう事が起きてますよね^^
それが見える”ライヴ”は、やはり体現の場です^^

>ロボトリアさん
コメントありがとうございます^^

すごい!完璧に読み取っていただいて嬉しいです!

>熱心なファンと、アンチと名乗って叩きにくる人。
>紙一重なんだと思います。

僕もそう思ってこんな記事になりました。解り合えることを信じたいと思います。
>おとわしゅなさん
コメントありがとうございます^^

熱いですねぇ(^^)/

>なんといってもあ~ちゃんのお墨付きですよ♪(^^v

するどいです!先日のあ~ちゃんblogにインスパイアされてこれを書きましたから(^_-)

記事の中で彼が最後の記事を上げて10分後に閉鎖するシーンがありますが、彼はこの10分間に最後のほんの僅かな望みを掛けているんです。パフュファンならこれを読んで放っておけないって思いません?^^
僕は排他的なファンにはなりたくないです。あ、でも近寄り難いファンになっているかもです(笑)
素晴らしいエントリーですね
フィクションとはいえ、現実にありそうなお話かも

点と線をつなげてこう
everithingをあわせてこう
って事ですね
>名無しさん
コメントありがとうございます^^

>点と線をつなげてこう everithingをあわせてこうって事ですね

そうでーすo(^-^)o
嵐のファンとパフュのファンも繋がったと思いますし(^_-)
マインドを共にする者同士、どんどん繋がっていきましょう!
ヤバイ
仕事中に読んでしまい、不覚(?)にも目頭が熱くなってしまい、その後大変でした^^;
彼が見た粒子の場面で、「puppy love」の満員のオーディエンスの上下上上~ を見て泣いたことを思い出しました。きっとその時も粒子が飛んでたんですねぇ。素敵な作品ですね、ありがとうございました^^
>runrunさん
コメントありがとうございます^^
お久しぶりです。

共感いただいてとても嬉しいです!

パピラの上下上上は会場全体が本当に綺麗にまとまってて、その美しさに泣けます。
他人同士なのにあのまとまりってスゴイですよね(^^)
パフュに伝えたい気持ちがあそこに凝縮されているんでしょうね。
僕も過去に記事にしています。
http://electrocat.blog113.fc2.com/blog-entry-34.html
ああ・・・思い出すだけで(T_T)ダ~

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