HOME>Perfume

大きなプレゼント

花音(カノン)ちゃんは5歳の女の子。
大きくなってなりたいものは、パフュームらしい。


Perfumeとの出会いは、叔父のライヴDVDだった。
花音ちゃんは、叔父の横で見ている内に、そのキラキラした世界にすっかり引き込まれてしまい、気が付くと液晶モニターの前で正座して画面を凝視していた。
「この子、Perfumeが好きなのかしら」
「ああ、意外と子供にも人気があるみたいだよ」
30分経っても花音ちゃんはまだモニターの前で正座をしている。
いつのまにか顔がずいぶん画面に近づいている。
「花音!目が悪くなっちゃうわよ!」
反応がないので、母親が近づいて彼女の顔を覗きこむと・・・
なんと、彼女の開きっぱなしの口からはよだれが流れ、輝やく目は遠くを見ているようだった。
「キャッ!花音!ちょっと大丈夫!?」
「これ、だあれ?」
「パフュームのお姉ちゃんたちよ」
「パフューム・・・」
それ以来、Perfumeは彼女の憧れとなった。


花音ちゃんの叔父はPerfumeファンだが、ライヴには参戦したことがなかった。
DVDを何度も観る内に、その一体感を自分も味わいたいと思うようになったが、家業が忙しく時間が作れない上に、最初の一歩を踏み出す勇気を持てないでいた。
そんなある日・・・

「Perfumeのお姉ちゃんたちに会いたいな~」

この、姪っ子の一言が彼の背中をポンと押した。
「この子をPerfumeに会わせてあげたい!」
妙な使命感に襲われ、いてもたってもいられなくなった。


沢山の調整の末に、ついにこの日を迎えることができた。
東京ドームには行けなかったが、このくらいの箱の方が、姪っ子も近くで観られて良かっただろう。
6歳になった花音ちゃんは、今では半分くらいの曲を歌い、踊れた。
「お姉ちゃんたちはどこから出てくるの?」
2階席最前列から、身を乗り出すようにしてキョロキョロしている。
「さあ、どこからだろうねぇ、あ、危ないよ!」

場内アナウンス、歓声、手拍子を経て、客席の照明が消えた。
ものすごい歓声!
そして、最初のキックが「ドン」と鳴った時、あまりの爆音に驚いた花音ちゃんは慌てて叔父の顔を見た。
その大きな目には、うっすらと涙を浮べていたが、すぐに、何かを決意したかのように、ステージの方へ向き直った。
まもなくして3人が登場すると、そこからはもう夢の世界だった。
花音ちゃんはせっかく覚えてきた歌やダンスどころか、まばたきすらも忘れていた。
そして後半は感激のあまり泣きじゃくりはじめ、結局それは最後まで止まらなかった。


駅への道は混雑しているので、公園の中を通り、少し遠回りして帰ることにした。
二人は手を繋いで、余韻を噛み締めるように、しばらくは会話もなく歩いた。
少し落ち着いたのか、花音ちゃんの方から話し始めた。


「今日はパフュームのお姉ちゃんたちに会わせてくれてありがとう!」
「ああ、楽しかったね」
「うん!でもね、おじちゃんのDVDはニセモノだってわかったね」
「ええ!?本物のはずだけど?」
「だって、今日はDVDには入ってないものがいっぱい見えたもん」
「どんなの?」
「なんかねぇ、空気にいっぱい飛んでた。それに、本物だったらもっとカッコいいし、もっと綺麗だし、もっと、もっと・・・」

繋いだ手から急に力が抜けていくのを感じ、慌てて抱き上げた。
この小さな身体で、力の限りを尽くして声援を贈ったんだね。
でも、心にはたくさんのタカラモノを詰め込んで帰って来たことだろう。
腕の中で夢の続きを観ている、その柔らかな表情を見ながら、彼はPerfumeに感謝した。
この子は今日の感激をいつまでも忘れないだろう。
純粋で一途な想い、信じるこころ、思いやり・・・大切なものがたくさん詰まった美しい空間。
この子の心を満たした、輝くタカラモノたちは、今後の彼女の人生で、必ず支えとなってくれる。
大きなプレゼントをありがとう!


(こちらこそ、本当にありがとうございました!)


声がしたような気がして空を見上げると、ひと際大きく輝く三つの星が、微笑むように瞬いていた。




present.jpg


**************************************************
この物語は、mtstさんのコメントにインスパイアされて書いたフィクションです。
※同様のフィクションがお好きな方は、左上の「電脳猫の作り物」のどれかをポチッとしたらいいかも(^^)/




関連記事

この記事のトラックバックURL

http://electrocat.blog113.fc2.com/tb.php/199-c3b39273

コメント

尽きませんね
溢れんばかりに次々にストーリーが紡がれますね。さまざまな人間模様をPerfumeという接点を通じて描くelectrocatさんのGJの数々が仕事の合間に着想されているとは驚くばかりです。
いつも楽しませていただき、ありがとうございます。
>ngo900jpさん
コメントありがとうございます^^

面倒くさいですよね?読むの・・・眠いし、まだまだblog巡回があるでしょうに、いつもご丁寧に感想をくださってありがとうございますm(_ _)m

>さまざまな人間模様をPerfumeという接点を通じて描く

ちょっとしたきっかけが、ぶわって膨らんじゃうので、どんどんできちゃうんです(質はともかく^^;)。でも、毎日記事上げてたら皆さんに嫌われそうなので(笑)間を開けて、後で自分で読み返してあまりグッと来ないものはボツにしています。でも、今週はちょっと多かったですね・・・

トゥワー仙台でZeppの二階席最前列に、母親と来た9歳の女の子がいて、パフュのダンスをバリバリ踊ってて、スゴ~イ!って3人にいじられてたんです。パフュが好きでしょうがないのが伝わってくるかわいい子でした^^その光景とmtstさんのコメントが一緒になってこんな話になりましたo(^-^)o
またまた
こころを癒していただきました♪
子供だから感じられる空気まで表現されていてホント感動します。
花音ちゃんの物語、この後のストーリーも膨らむ素敵な作品ですね。
>はぜまるさん
コメントありがとうございます^^

また過分なお言葉、恐縮です。共感いただけて嬉しいです(^^)/

>花音ちゃんの物語、この後のストーリーも膨らむ素敵な作品ですね。

おお、早速のプレッシャー( ̄□ ̄;)!!
いつか花音ちゃんに再会できる日を楽しみにしてましょう・・・お互いに(^_-)
いつもながらの流れる様なストーリー展開…心から脱帽です。
うわぁ…
今週は電脳猫さんの作品をこんなにたくさん読めて幸せです('-^*)/癒やされすぎて、いい人になれたような気がします(笑
今回は、ジブリにアニメ化にしてもらいたい話ですね!そんなの見たら大泣き間違いないです。だって、読むだけでヤバイのに、これにかわいいアニメキャラと音楽が着いたらどんだけヤバイかを想像するだけでヤバイです(笑
日本語合ってますか?(汗
溢れる想い
猫さん、相変わらず素晴らしいです。いろんなシチュエーションから膨らませ、想いを絡めるその文章は、いつ読んでも心地よいです。

うん、まさにP文学ですね。Perfume賛歌です。

今後も楽しみにしています。
>DD-Ayanamiさん
コメントありがとうございます^^

細かい描写をかなり省いているせいだと思います。せっかちなもので^^;
>ゆかにゃんさん
コメントありがとうございます^^

そんなことが起きたら、とろけて消えてもいいです(´∀`)僕もジブリが好きなので、そんな雰囲気が出ちゃうんでしょうか・・・
香音ちゃんはメイとかポニョくらいですしね!ああ、被ってきてヤバイです(*^o^*)
日本語・・・間違ってますよ(笑)
「あ~…Perfumeのお姉ちゃんらに会いたいな~」
ボクもmtstさんのコメントがとても印象に残っています。
素晴らしいコメントに、思わずコメレスしたい衝動にかられましたが、
人様のブログなので自粛しました。(笑)

でもそれをここまで物語を拡げられるelectrocatさんの手腕はさすがです!
帰りの会話のシーンがいい!心が暖まりました。(*´∇`*)
>GAME-edge_早起き活動中さん
コメントありがとうございます^^

また過分なお言葉をいただき恐縮ですm(_ _)m
Perfume賛歌って言っていただけてとても嬉しいです(^^)/書きながら「これって応援になってるかなぁ」っていつも考えていますので・・・
゛Perfume認可゛になるまで頑張るぞー(^O^)/オ~
PPPHIVE-飲み会中
彼女には見えたんですね


ドームに充満する心の粒子が‥‥

僕らにも見えるのだろうか‥‥
うわぁ~ん><
ちょっとちょっと、泣かせないでくださいよ><
うちの娘も花音ちゃんみたいにならないかなぁと密かに思ってます。子供は大人に見えない色々な物が見えるようですから・・・
きっとPerfumeとファンが放つ心の粒子は、いつまでも胸に焼き付いて離れないんでしょうね。今回もGJでした。ありがとうございますm(_ _)m
ほこほこ
最近イイ作品ばかりでココロが癒されますw
なんでこんなにやさしいストーリーが書けるのでしょう。electrocatさんの人柄がうかがえますね(^^

最近更新の時間やコメレスの時間が不規則?なのですがお仕事忙しいのでしょうか。
あまり無理なさらないようにしてくださいね(^^;;;;

といいつつP文学が楽しみな私ですが・・・w


びっくりびっくり
2回しかコメントしていない新規者の自分が題材になっており
画面見た瞬間「ん?…え?!」となってしまいました。
本当に恐縮です。
しかも実は楽曲はラジオから流れたポリリズムを聞いて以降、好きなジャンルなので気になってましたが
なんだかんだでCDやDVDを買い始めたのも、限定DVD欲しさに悩み抜いたあげくP.T.Aに入会したのも、今年に入ってからの超新規ファンです。

しかし物語中の
「家業」とか(今ヒマですけど…)
「大きくなってなりたいものは、パフュームらしい。」とか(七夕の短冊に書いたらしいです)
その他諸々の状況描写…(流石によだれは出てなかったですけど)
そんな事一言も書いた覚えないのですが
コメントの文面から何かプロファイリングでもできる能力お持ちですか…。
electrocatさん恐るべし。(笑)
現実もこの物語の後半のような風になればいいなと思います。

あとこの場をお借りして
ロボトリアさん
「素晴らしいコメント」って
ホント恥ずかしい限りです。皆さんのように言いたい事が簡潔に書けなくてどうしても長文になってしまいます。
ブログ運営している方々、文章力も知識もつくづく凄いなと思います。
そして、のっちの文章が凄いと言われる理由も何となく分かる気がしてきました。

あぁ、また長文に…、失礼しました。
>ロボトリアさん
コメントありがとうございます^^

>素晴らしいコメントに、思わずコメレスしたい衝動にかられました

そうなんですよ。
とてもお人柄が出ていて印象的で、気になったんです。
あ、そういう時はここを自由に使ってくださいね(^^)/

>帰りの会話のシーンがいい!心が暖まりました。(*´∇`*)

ありがとうございます(*´∪`*)
実は、あのシーンが最初に出来たんです。
>PPPHIVE-飲み会中さん
コメントありがとうございます^^

あれ?僕には見えますよ(ウソ)
でも・・・見えないけど感じます(ホント)(^_-)
それにしても、飲み会中くらいblogのこと忘れてくださいよ(笑)
PPPHIVEさんて、ホント律儀なんですから・・・(*´∪`*)
>runrunさん
コメントありがとうございます^^

>うちの娘も花音ちゃんみたいにならないかなぁと密かに思ってます。

はい、うちの娘にも期待しております(笑)
トトロや猫バスが見えてしまう子供たち。
大人になるといつの間にか見えなくなってしまいます。
でも、パフュには、そんな”昔見えていたのに見えなくなってしまったもの”をまた見えるようにしてくれるような不思議な力を感じます。
>おとわしゅなさん
コメントありがとうございます^^

褒めすぎですよ(笑)
人を変えることができるのは感動だけだと、僕はそう思っています。
感動はどういう時に起きるのか・・・
純粋、一途、健気、努力・・・
それって・・・なんだ、パフュのことじゃん!(笑)

>最近更新の時間やコメレスの時間が不規則?なのですがお仕事忙しいのでしょうか。

お気遣いありがとうございますm(_ _)m
仕事はずっと忙しいのですが、今はそこに別の事情が加わってしまいまして、ちょっと大変なんです・・・
でも、大変な時ほど、パフュやパフュ好きな方々との交流で元気にさせていただいて、その有難さが身に沁みます。
パフュがいなかったらと思うと恐ろしいです(笑)
>mtstさん
コメントありがとうございます^^

勝手に取り上げさせていただいて申し訳ありません。
「2回しか」っておっしゃいますけど、それで十分なほど、温かいお人柄が滲み出たコメントでした。

>コメントの文面から何かプロファイリングでもできる能力お持ちですか…。

「残念ですが自分はドーム行けない側の人間です。」というコメントから、たまたま行けないというより、簡単には家を空けられない事情があって、端から検討すらできないような”諦め”のようなものを感じました。
それで「家業」というワードに繋がりました。
また、2回のコメントに2回とも登場する姪っ子さん。
その姪っ子さんに対するmtstさんの愛情を感じたとともに、その子が相当なパフューム好きだと感じまして、このような描写になりました。

>皆さんのように言いたい事が簡潔に書けなくてどうしても長文になってしまいます。

とんでもないですよ!mtstさんのコメントには優しさや温かさが満ちてますよ!
これからもぜひいらしてくださいね。
こんなに熱い長文コメントをいただけるのは、ブロガー冥利に尽きます!(*´∪`*)

>現実もこの物語の後半のような風になればいいなと思います。

そうなることを心よりお祈りしておりまーす(^^)/
ほんとに あんたってひとは 
 ここ数日 ネット界から離れている間に 
妄想の連発

すばらしすぎます どうしよう

ないちゃったじゃないですか
>セラミックおじさんさん
コメントありがとうございます^^

セラミックおじさんさんが泣いちゃうのは、ご自身が熱いからじゃないですか!(^_-)
その熱い部分を、少しだけ揺らすことができたのなら、それだけで妄想家冥利に尽きます(笑)

コメントする

管理者にだけ表示を許可する

 

Template Designed by めもらんだむ RSS
special thanks: Sky Ruins DW99 : aqua_3cpl Customized Version】