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575に情感を揺さぶられるワケ

575には沢山の仕掛けがあります。
聴けば聴くほど気づきがあって面白い曲ですね~(^^)
僕が気づいた部分のいくつかを書いてみます。


今回のポイントは次の通りです。
1.テクノ番長は和風がお好き?
2.地味な転調が生む透明感
3.2コーラス目は全部同じコード進行
4.解決しないゆえの浮遊感
5.音色のこだわり


<1.テクノ番長は和風がお好き?>
以前の記事のように、575は「ヨナ抜き」と言われる和風の音階でメロディーが作られています。
この音階によって独特の郷愁を感じるわけなんですが・・・
しかし、実はこれまでにも和風の音階の曲はあったんですよ!
例えばシクシク、セラガ、NFも和音階を取り入れて作られています。
575が好きな方は、シクシク、セラガ、NFも好きな方が多いのではないでしょうか?
ヤスタカは元々和音階が好き(あるいはJAZZが好き)で、つい使ってしまうのかも知れませんね。


<2.地味な転調が生む透明感>
Bメロ(CM起用部分)⇒Cメロ(ラップ部分)の転調はわかりやすいですね。
しかしもうひとつ、地味な転調をしている箇所があるんですが、気がつきましたか?

それは、1コーラス目のAメロ⇒Bメロです。
AメロのキーはBm、BメロのキーはDなんです。
これは「平行調」という転調の方法で、構成している音が全く同じでマイナーからメジャーに転調しています。

例えば、キーがC(ハ長調)の場合、その音階をピアノの鍵盤で弾くとドレミファソラシドですよね?
一方、キーがAm(イ短調)の場合の音階は、ラシドレミファソラとなります。
この2つのキーは音階の構成音が同じだという事なんです。
DとBmも構成音はレミファ♯ソラシド♯レ、しかもヨナ抜き音階。
そのため、気づかないくらい自然に転調がされています。

ここでマイナー(短調)からメジャー(長調)に転調されることで、Bメロに入ったところで拡がりを感じ、突き抜ける透明感が付与されています。
地味だけど効果絶大の転調ですね。


<3.2コーラス目は全部同じコード進行>
3コーラス目で、ラップ部分のバッキングにBメロが乗っているところ、カッコいいですよね!
でも、入れ代わっているのはここだけではないんです。
というか、同じ繰り返しはほとんど無いくらいです。

まず、575は主に下の3パターンのコード進行で出来ています。

パターン


この3つのパターンがどのように並んでいるかと言うと、次の通りです。

コーラス


独特の雰囲気で聴くものを引き込むパターン1は、最初しか使われていないという贅沢さ!
そしてなんと、2コーラス目はAメロ~Cメロまで全部同じパターンなんです。

この、パターン2のコード進行が長々と続いたあとに、例のラップ部分のバッキング(パターン3)がくるから、そこが引き立つんですね!


<4.解決しないゆえの浮遊感>
曲の大部分がパターン2(Ⅳ△7⇒Ⅴ⇒Ⅲm/Ⅵ⇒Ⅲm)です。
フレーズの最後はⅠ(ここではD)で終わるのが自然で安定感があるのですが、この曲の場合Ⅰで解決するのはBメロの8小説目だけです。

解決しないことで生まれる浮遊感が、主人公の”揺れ動く気持ち”を表現しているように思います。


<5.音色へのこだわり>
①エレピは2音色
 アタック強めの歪んだ音色と、くぐもった音色の2音色で、ひとつのエレピパートを形成しています。
 これによって歯切れのいいノリと、心地よく複雑な、奥の深さが出ています。

②敢えてチープな音色
 ストリングスやホーンは、チープな(リアルすぎない)ものを選び、しかも同系統の音色を重ねて
 厚みを出すこともしていません。

 これはAORっぽいアレンジを引き立たせるためではないかと考えています。
 AORが流行った80年代は、ポリシンセの名機がたくさん登場した時代でもありました。
 当時は最高にリアルに感じた音色も、今のシンセに比べると遥かにチープです。
 でも、その微妙なリアルさが独特の味となってAORの一要素を担っています。
 AORっぽいアレンジを、当時の音色で奏でることでリアルさを引き出し、当時を知る人には
 たまらんちょたまらんちょの懐かしさを呼び起こさせます。
 まんまとしてやられましたよ!(>_<)



数々の仕掛けで聴くものの情感を揺さぶるテクノ番長ヤスタカ、脱帽ですm(_ _)m

その他、効果音の隠し味などまだまだたくさんの仕掛けがあります。
頭を空っぽにしてひたすら郷愁に浸るもよし、いろいろ探して楽しむもよし、当分楽しめそうですね。




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コメント

きょうは実に論理的なお話ですね。
わかりやすい、お話しありがとうございました。
かねてから、音楽を勉強したいと思っておりましたが、ますますしたくなりました。
自学しましょうかねぇ~。

それにしても、しっかりとした宣伝になります。electrocatさんはパフュバイヤーになれますよo(^▽^)o
高度な検証
大変勉強になりました。
といっても、専門的な箇所ではどれだけ理解できたかあやしいもんです。
「細部に神はやどる」とよくいいますね。
徹底的な細かいこだわりが全体のインパクトに繋がるんだな、
ということがよくわかりました。ありがとうございました(^^)
深いですね~
理論的な知識を持っておられるとそんな見方(聞き方?)も出来るんですね。
悲しいかな読んでいても頭に入ってきません…
若い頃、布袋さんに憧れてギター弾いたりしましたが、TAB譜に頼りっぱなしでコードもスケールもキーが何なのかも分からずじまいでした…。

和風と言えば16歳の頃の中田さんがコンテストに応募したと言う
「会席料理」を思い出しました。まさに和風の原点かも。
あと、もう一つの「XGroove」は今の中田さんに通じる物が有るような、無いような
気がするような…自信なし。
electrocatさんに比べて浅いな~、このコメント(笑)。
自分は音楽を心で聞くようにします!(開き直り)
ごめんなさい
私は音楽の基本的な知識すら怪しいので
この記事にコメントするのはいささか気が引けますが・・・
まるで論文のようにまとめられた文章に
ただただ唸るばかりです(^^;
少しネットで調べりるなりして勉強しようと思います。



でも。。。
同じ方が…(*´∪`*)ハニャ~ン、なんて言ってるとはいささか信じられません\(-.-メ)オイオイ

大変失礼しました;;;
僕は
最初からこのような事にチャレンジする事は諦めております。
でもこういう事が言いたかったのであります(笑)
音楽の時間は嫌いだったので用語はチンプンカンプンです。
あくまで自分の感覚のみで記事にする無謀さを実践しております(笑)

でも羨ましいですね。こういう解析が出来ると言うのは。
ちゃんと勉強しとけば良かったなあ(無理か)
クリエイティブな才能(この前の工作とか)をお持ちの電悩猫さんが
羨ましいです。感服m(__)m
私には~
難しいことはよく解りませんが~・・・というかすごいですね。創作だけではなく、音楽にも造詣が深いとは・・・脱帽です。専門用語はホントによく解らなくて恥ずかしい限りなのですが、AORっぽいところにたまらんちょたまらんちょというのは、まさに自分に当てはまると勝手に納得してしまいました^^;とにかく、さすがystk氏ってことですね(スミマセン・・・)
そうなんですよね!
というのは嘘で、ほとんど理論的なことは分かりません。

しかしながら、シンプルな中に工夫が凝らされているということと、目指すものが不思議な透明感や浮遊感であるということは体感できますので、その方法論が解説されていて、とても興味深かったです。

分厚い音作りの中田氏も好きですが、ミニマルでこそ真価が発揮されるように思います。
>Perfume好きなJ-POP世代さん
コメントありがとうございます^^

わかりやすいと言われると嬉しいですが、他の方のコメントを読むと怪しいです(汗)
専門用語をできるだけ出さないようにしたつもりでしたが、まだまだのようですm(_ _)m

>自学しましょうかねぇ~。
ぜひぜひ(^^)/
なにか楽器をやってみるのが一番わかると思いますよ!

宣伝になってます?だったら最高に嬉しいですヽ(*´∪`)ノ゛
>ロボトリアさん
コメントありがとうございます^^

>高度な検証
とんでもないです(>_<)
楽典やコード理論にお詳しい方が読んだら突っ込みところ満載です。。

>細部に神はやどる
細部にこだわると「木を見て森を見ず」ともなり兼ねませんが、音にこだわりながら、構成も大胆にアレンジしてくるところ、さすがですよね^^
最終的にはPerfumeがすべての調和の要になるようにアレンジしているのもニクイです!
>mtstさん
コメントありがとうございます^^

会席料理、改めて聴いてみました(^^)/
この曲名の意味に悩まされながら・・・
16歳にしてすでにヤスタカ節炸裂でニヤニヤしてしまいますよね(笑)

僕の印象では中華テイストでVOICEのスケールに近いかなと・・・

彼は小京都金沢出身ですから、いつのまにか和の感覚が身についたのかも知れませんね(・o・)ノ
>おとわしゅなさん
コメントありがとうございます^^

わかりやすさをモットーとしているんですが、わかり難くなってしまって申し訳ですm(_ _)m
もっと修行をしてきます(>_<)

>同じ方が…(*´∪`*)ハニャ~ン、なんて言ってるとはいささか信じられません
この記事もジャケ写のウインクゆかちゃんを見てハニャ~ンしまくりながら書いてますがなにか( ̄ー ̄*)v
>PPPHIVEさん
コメントありがとうございます^^

本当に才能があればそっち方面で飯食ってますって(;^_^A
ただ、遊びは大好きなのでとことん突っ込みます(笑)
実は僕も音楽の時間は嫌いでした。
「難しいことは置いといて、楽しければいいじゃん!」って^^
僕の想像では、ヤスタカも理論ありきではなく、感覚で作っていると思います。
理論では説明しきれない感性こそが神なのかと・・・
>runrun1006さん
コメントありがとうございます^^

客席にいるよりもステージに立った回数の方が多いポンコツ猫です。
しょーもない曲を300曲くらいは作っています(;^_^A
でも離脱組でーす( ̄∀ ̄)v

作曲や演奏は大好きなんですが、譜面を起こす時になると理論が付きまといますのでいつも悩まされます。
この記事のわかりにくさは、そのへんから来ているのかもしれませんね~(>_<)
中途半端で申し訳ですm(_ _)m
>ngo900jpさん
コメントありがとうございます^^

この曲は、詞と曲のシナジーのお手本みたいな作品だと思います。
ここにヴィジュアルが重なったらいったいどうなってしまうのか・・・
想像だけでウルウルです(T_T)

>ミニマルでこそ真価が発揮されるように思います。
全く同感です!
ミニマルだからこそ”輝く感性”と、それをさらに輝かせる”技術”が見えやすくなりますよね。
ヤスタカのすばらさに猫舌を巻きました!
羨ましい
古くて新しいとか郷愁感という感覚的な紹介しかできない自分がいつももどかしいんですよね。音の良さは彼女達のキャラクターと合わせてPerfumeにとって重要なファクターじゃないですか。しっかり紹介できない私はブログ書きながら片手落ちだなと。
ですから、猫さんの様に解説して頂けると、ファンとしてとても嬉しいです。
彼女達のqualityの高さをどんどん広めたいですね。
575に惹き付けられた理由がわかりました
音楽は、調も音階も判らないし、詳しくはないですが、どちらかというと「575」がお気に入りで、電脳猫さんの解説で改めて噛みしめて聴いてます。

シクシク、セラガも好き曲上位ですし、「解決しないゆえの浮遊感~揺れ動く気持ち」だから切なさを感じ、そして、AORの時代を経たアラフォーの自分には、たまらん要素があったと感じました。

数々の仕掛けを解説して頂き、感謝です。
音楽関係の方?でしょうか。
>GAME-edge_さん
コメントありがとうございます^^

音楽はまず感じることだと思います。
絶対音感を持っている方は、新鮮味やインパクトを感じ難く、苦労される方もいらっしゃると聞きます。
僕も最初は頭を空っぽにして感じるものを大切にして音楽を楽しみます。
でも、その次に「なんで感動しちゃうんだろう」とか「なんで泣けるんだろう」って、なんで?なんでぇ?となる悪い癖がありまして(;^_^A
たぶん、自分も作曲をするので、その再現性を考えてしまうのだと思います。
でも、こんな記事がPerfumeの楽曲の良さのアピールになるのだとしたら嬉しいです(*´∪`*)
>ゼブラさん
コメントありがとうございます^^

>電脳猫さんの解説で改めて噛みしめて聴いてます。
音楽って、視点を変えると改めて楽しめるところが面白いですよね~。
歌詞の新しい解釈を見つけたり、アレンジの仕掛けに気づいたり、プレイヤーが好きな人だったり・・・
この記事が、ゼブラさんが575を今までと違う視点でじっくり聞き直すキッカケになったのなら嬉しいです^^

>音楽関係の方?でしょうか。
昔かじっていて離脱した負け猫です(笑)

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