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ブレイク

収録中に、あ~ちゃんが足を捻挫してしまった。

フォーメーションチェンジの際、かしゆかがよろけたのをきっかけに、ドミノ倒しのようにしてあ~ちゃんが転んでしまったのだ。
とっさに、のっちが支えようと腕を伸ばしたが間に合わなかった。


「気にせんでええんよ。あたしがボーっとしとったけいかんのよ」


今年はとにかく突っ走ってきた。
新譜のレコーディング、プロモ、FCトゥワー、取材、撮影、イベント、TV、ラジオ、CM、フェス、大学の勉強・・・しかし、気力は漲り、精神的にはとても充実していた。
忙しいこと自体をも楽しめる、そんなたくましさが今の彼女たちには備わっていた。
東京ドーム公演まであと2ヶ月。
これまでのPerfumeを振り返り、これからのPerfumeを占うために、自らが課した高いハードル。
ドームを成功させるまでは、怪我などしている余裕はなかった。
あ~ちゃんは、家に着いたとたんに泣き出してしまった。
「あたし、何しとんのじゃろ。二人に迷惑かけて・・・」


翌日、ドーム公演のミーティングにあ~ちゃんは来なかった。
携帯も繋がらず、家に電話をしても所在がわからない。
前代未聞のあ~ちゃんの無断欠勤、しかも行方不明。
心配のあまり、午前中はろくな打ち合わせにならなかった。
昼過ぎになって、あ~ちゃんの母からかしゆかの携帯に電話が入った。
何を言っているのかわからないほど興奮している。
が、どうやらあ~ちゃんが妙な置手紙を残して出かけたらしい。
二人は血相を変えて事務所を飛び出した。



「のっちぃ、あたしたちこんな事しとってええんじゃろか」

かしゆかは湖上のボートで仰向けに寝そべり、真っ青な空を泳ぐ赤とんぼを目で追いながらつぶやいた。
のっちはオールを持つ手を止め、湖面を渡る風越しに、薄紫の山々をぼんやりと見つめている。
この「あ~ちゃん失踪事件」にマスコミが気づくのも時間の問題だ。
騒ぎに巻き込まれないようここで待機しているようにと、マネージャーから指示が出ていた。
湖畔に宿が一軒しかない奥日光の美しい湖。
その小さな宿は二人の貸切だった。
宿の主人は優しい老夫婦で、二人の心情を思いやり、なんとか和ませようと心温まるもてなしをしてくれた。
釣りを教わり、釣った魚は美味しい料理になった。
昼間は探索、バードウォッチング、スケッチ、ボート、水遊び・・・
ダンスの練習も試みたが、あ~ちゃんがいない事をリアルに感じるためにすぐにやめてしまった。
夕方には浴衣を着て夕涼み、スイカを食べ、花火もした。
じっとしていると不安で気が狂いそうになるが、老夫婦の温かさが二人の心を癒してくれた。
そうして2日が経った。


3日目の朝食が終わった頃に、宿の外に車が停まる音がした。
窓から覗くと見慣れたパフューム号からもっさんが降りてくるところだった。
彼は二人に気づくと、ちょっと深刻な顔をしながら、外へ来てほしいという仕草をした。


二人が水際の岩に座ると、もっさんはいつものように低いテンションで話し始めた。
それは、今回の騒動の顛末だった。
話を聞くうちにのっちの目は涙でいっぱいになっていった。
かしゆかは厳しい表情のまま聞いている。
そして、もっさんの話が終わると、「バッカじゃないの!」と呟いた。


もっさんの話はこうだった。
あ~ちゃんは、自分が怪我をしたことも含めて、メンバーが肉体的に疲れきっていることを感じていた。
しかし、過密スケジュールの中で休暇を取る余裕はない。
そこで、家族とマネージャーとグルになってこの芝居を打ったのだった。
二人に休暇を取らせるために!
昨夜になって、あ~ちゃんはメンバーの家族、そしてマネージャーと共に事務所に赴き、真実を明かした。
会長と社長の怒声は、社屋の外にまでとどろいた。
それでもあ~ちゃんは、この2日間がメンバーにとってどれほど大切だったのかを訴え続けた。
会社には感謝しているし、信用もしている。
でも、今じゃなきゃダメだったんだと、何度も何度も頭を下げた。
そして彼女はついに会長と社長を説き伏せたのだった。


「ごめんね。」

背後から聞きなれた声がした。
振り返ると、少し離れたところにひまわりのような大きな笑顔があった。
二人の顔は、みるみるクシャクシャになっていった。

「わぁ~!」

泣き声とも掛け声ともつかない声を挙げながら駆け寄ると、三人は抱き合って泣いた。


少し落ち着いてから、かしゆかがまだ震える声で話し始めた。
「なんでいつも一人で抱え込むん!?」
「じゃけ、仕方なかったんよ・・・」
「あたしに内緒でのっちをスカウトした時のことを思い出したよ」
「あたしは携帯の暗証番号解読事件を思い出した」
「昔と全然変っとらんね!」
「ごめん・・・」
「じゃけ、三人で休暇を取らんと意味がないじゃろ」
「その前に、うちら事務所をクビにはなっとらん?」
「めっちゃ厳しい罰がくだりおったよ!」
「ええー!?」
「もう2日間ここで謹慎だって!」
「わぁ~~♪」

「ところで、お母さんの演技はどうじゃった?」
「演技!!」

興奮して泣きわめくあ~ちゃんの母の姿を思い出し、あれが演技だったのかと思うと、くっくっくと込み上げてきた笑いが止まらなくなった。 安堵や嬉しさも手伝って、ついには腹を抱えて無邪気に笑い転げた。

そこにあ~ちゃんの笑い声も加わり、その心地よいハーモニーは、湖面に小さな波紋を作った。

波紋はどんどん大きな波となり、どこまでも大きく拡がっていった。



hamon.jpg 



**************************************************
この物語はフィクションであり、作者の激しい妄想です(笑)
尚、広島弁が下手な点、お許しくださいm(_ _)m

※同様のフィクションがお好きな方は、左上の「電脳猫の作り物」のどれかをポチッとしたらいいかも(^^)/




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コメント

ちょっとー
序盤ほんとうにあ~ちゃん怪我しちゃったのかと思って
焦りました(;^_^ 武道館のリハーサル時の倒れた映像思い出したりして。

なるほど、そいういう意味の「ブレイク」ですか。
ニクいタイトルですね(^_^)v
猫さんはやっぱり3人に、
こういうのんびりした時を過ごして欲しいんですね。(^^)
やさしい気持ちが伝わりましたよ。

ボクは3人に比べたら全く忙しくありませんが、
こうした湖畔の宿で何も考えずのんびりしたいと、いつも思っています。
単なるなまけものなのでしょうか?(笑)

うぅ~(涙)
うかつにも泣いてしまった~(笑)

自分は妄想力が足りないので、妄想ブロガーさん達の妄想を読むたびに尊敬してます!
↑P文学もですが、もちろん暴走妄想の方もですよ♪(笑)
今回は
Perfume本人ものですね^^
あ~ちゃんをはじめ、のっち、かしゆか三人共の個性が上手く表れており、それでいて過去のエピソードを髣髴させる見事な妄想作品となってます。さすが、と思わず唸ってしまいました。いつも、はにゃ~んと言っている猫さんですが、こういう素晴らしい作品を書いたり、音楽に造詣が深かったり、意外な面があるところが魅力の一つですよね。また、今回もしてやられました(笑)
あ~
センチになっちゃいますよ。
息抜きしてほしいですね。特にあ~ちゃん。お肌調子悪くってテンション下がっているだろうに。
いつも全力で立ち向かい得るものもあるけど、削っているところも沢山ありそうでオジサンはハラハラと見ています。

ある意味とても不器用なお嬢さんなんだと思います、きっと。
何の疑いもなく飛び込んだ芸能界、青天井のように忙しい今が果たして幸せなのか、と考えてしまうんですよね。
つい、動画サイトでしか見れないポリ以前の彼女達に想いを馳せてしまいます。

やっぱり猫さん上手いです。
だ~まさ~れた~
自分も読み始めて「え…えらいこっちゃ~!」となってしまいましたよ(笑)

現実の3人も互いに支えあってる感じがして「うまくバランス取れてるな~」と感じる事がよくあります。厳しい時期を力を合わせて乗り切ってきたからこそ出来上がった強固な人間関係なんでしょうけど。
そして「こんな仕事仲間が居たら仕事の質が上がるだろうな~」と努力もせずにそんな仲間が欲しいと思ってみたり(笑)

ドームライブが無事に終わったら、のんびりと休養してもらいたいですね。
よくもこんなに
いろんなパターンで泣かせてくれますね!もう(笑
感性?センス?普通の人にはこうゆう話の発想が出てきませんよ。本当に尊敬です。電脳猫さんの妄想作品をまとめて短編集にしてPTAに売り込んだらどうでしょうか?これPerfumeも面白がって読むと思いますけど。あっそうか、本にしてドームのプレゼント箱に投函ってよくないですか!?いい思い付きでしょ(笑
振り返ったらあ~ちゃんがいたシーンで泣かされました(>_<、)また次の作品を待ってます!少なくとも週刊化希望です!(まじめなプレッシャーですよぉ)

ヤッヴェー
今回は今までとちょっと違う流れですね(^^

出だしからドキドキしてしまい・・・
クライマックスで涙が溢れ、
最後には笑顔でエンディングという・・・

あ~ちゃんなら本当にんこんなことしてしまいそうで 
ちょっと心配になりましたw

あのひまわりのような明るい笑顔が輝けば輝くほど
影は強く濃くでてしまいますから、、、
でも3人でいられれば、濃い影もうすくすることが出来るでしょう♪

今夜も良い夢がみられそうです。
ありがとうございます。
Perfumeへの応援作品
これはelectrocatさんからの、頑張る、そして時にはファンの期待に応えようと頑張り過ぎかねないPerfumeへのねぎらいと、無理をしないようにというメッセージと受け止めました。

もちろんよいステージは見たいですが、あまり自分を追い詰めないようにしてほしいですね。
>ロボトリアさん
コメントありがとうございます^^

すみません!ちょっと冗談キツかったですねm(_ _)m

忙しすぎるのはいろいろと心配ですよね。
そして、”三人の休暇”も楽しんでほしいなぁと思います。
今まではなかったと思いますし、その距離感がちょうど良かったのだとも思います。
でも、三人でのんびり過ごす事もしてほしいなぁと。
休日にはあまり会わない職場仲間と、たまに社員旅行などでオフを一緒に楽しむと、より一層仲良くなれる現象、あれです(笑)

この湖は、奥日光に実在する僕のお気に入りの湖がモデルになっています^^

>頭文字Yさん
コメントありがとうございます^^

どんどん泣いちゃいましょう('-^*)/
実は、僕もいつも泣きながら書いてるんです(T_T)キンモ~

>もちろん暴走妄想の方もですよ♪(笑)
おおお!そんなこと言われると嬉しくてまた発症してしまいますよ~( ̄∀ ̄)
>runrun1006さん
コメントありがとうございます^^

そう、久々の本人ものなんです^^
いろんなファンのカタチをテーマにすることが多いのですが、夏フェスが終わった今こそ彼女たちには遅い夏休みを取ってもらいたいなぁと・・・
それにしてもrunrun1006さん、まるで小説のあとがきのような整理されたコメントですね!
過分なお言葉に嬉し恥ずかしです(*^_^*)
>GAME-edge_さん
コメントありがとうございます^^

センチって久々に聞きました(笑)
削っているもの、多いと思います。時間は限られていますから。
今の彼女たちだから体験しておいてほしいものもたくさんありますし(親目線?)

あ~ちゃんって、思い込んだら突き進む感じですよね。
周りの人もきっとわかってくれるって。
おっしゃるように、それが不器用さでもありますが、僕もそうなんでそういうのわかる気がします。
そして彼女最大の思い込みは”Perfumeで成功すること”ですね(^_-)
>mtstさん
コメントありがとうございます^^

だましちゃってごめんなさいm(_ _)m

>こんな仕事仲間が居たら仕事の質が上がるだろうな~
苦楽を共にした部活の仲間同士で仕事始めたようなもんですからね(笑)
ぶつからなきゃ最高だと思います。
そして彼女たちはキャラをいかして無理のない役割分担ができていますし。
それはスキルだけではなく、精神的な部分もそうだと思っています。

>ドームライブが無事に終わったら、のんびりと休養してもらいたいですね。
きっと次のツアーやらアルバムやら年末の仕事やらいろんな仕事が待っているんでしょうね・・・
それでも!強引にでも休養して欲しいです。そうしないとあ~ちゃんが失踪してしまいますよ(笑)
>ゆかにゃんさん
コメントありがとうございます^^

いつも過分なお言葉恐れ入ります。

>本にしてドームのプレゼント箱に投函ってよくないですか!?
これ、本当に考えてみようかと・・・でも、少しキモ度を下げて整理しないとダメかも(笑)

週刊化!?無理無理!(>_<)です。
>おとわしゅなさん
コメントありがとうございます^^

昨夜はうなされませんでしたか?(笑)

>あ~ちゃんなら本当にんこんなことしてしまいそうでちょっと心配になりましたw
しそうですよね、あ~ちゃん(笑)
ドームでキャンディーズみたいなサプライズ発言がない事を祈ります(T_T)

>あのひまわりのような明るい笑顔が輝けば輝くほど影は強く濃くでてしまいますから、、、
>でも3人でいられれば、濃い影もうすくすることが出来るでしょう♪
おお、深いです。三人の関係を分析する方が多いのもわかりますよね。
だって、本当に絶妙なバランスで、それぞれが活きていますから(*´∪`*)
>ngo900jpさん
コメントありがとうございます^^

>ファンの期待に応えようと頑張り過ぎかねないPerfumeへのねぎらいと、無理をしないようにというメッセージと受け止めました。
ngo900jpさんも同じように思っていると受け止めました(笑)
応援されて頑張っているのに、頑張っていると休めと言われる・・・
ファンって面倒くさいものでしょうね(;´∩`)
あ~ちゃんなら、やってくれそうですね。て言うかやりそう本当に

僕もひまわりのような笑顔、うけてみたいな~

どう見ても最近、かしゆかものっちもメロメロですよね。
うらやましい限りです。
ちょっと目を離した隙に
またまた完成度高しの作品ありがとうございます。
実は携帯の方で先に目を通したんですが、読み進めていくうちに
どんどん展開が気になって気になって休憩中の職場で一人そわそわしてました(笑)

3人には本当にリフレッシュしてからドームに向かって頑張って欲しいですよね♪

とここに書いとけばゆかちゃんに伝わるかな(笑)
>ponchoさん
コメントありがとうございます^^

あ~ちゃん、やりそうでしょ!(笑)

>僕もひまわりのような笑顔、うけてみたいな~
ドームで受けましょう^^
間近で受けたら即死でしょうから、それくらいのかんじでたぶんちょうどいいと思います(^_-)
>はぜまるさん
コメントありがとうございます^^

>ちょっと目を離した隙に
夏フェス留守番組(番組ではありません)としては、こっそりひっそりとこんなことを書いて楽しむくらいしかできませんので^^;

考えることも、練習することもたくさんある時こそ休息が大切ですからね~

>とここに書いとけばゆかちゃんに伝わるかな(笑)
あの、どのゆかちゃんにでしょうか(;^_^A
うちのゆかちゃんにはもちろん伝えますが(笑)
現実は
>きっと次のツアーやらアルバムやら年末の仕事やらいろんな仕事が待っているんでしょうね・・・
そうなのかもしれないですね…、でも大学卒業の事も考えると卒論作成とか?結構まとまった時間がいるのでは?と思ったり。
自分は高卒なんでその辺さっぱり分からないんですけど。

「も~忙しすぎるし3人にお休みください!」って言えれば良いですけど
あ~ちゃんに対する個人的なイメージとしては
”こんなに忙しくさせてもらってるのはありがたい事なのに休みを欲しいなんて思ってはいけない”
とか考えそうな人です。
>mtstさん
卒論はないと言っていましたが、レポートは多いと思います。
でも、あ~ちゃんは卒業できればいいのではなく、”良い成績で卒業したい”って公言してましたね。
ここでも自分に高いハードルを課すところ、恐るべしです!

>”こんなに忙しくさせてもらってるのはありがたい事なのに休みを欲しいなんて思ってはいけない”とか考えそうな人です。
これが一番リアルですね^^でも昨年歩かせてもらったのもまた事実。
そのへんの見極めもちゃんとできる人なんだと思います。
遅れてしまった
readmoreのボタンに気がつかなかった私は、すべてが発表されてから一気に読もうと思っていたのでした…

そういう妄想 大好物です
残暑を乗り切ることができそうです
>セラミックおじさんさん
コメントありがとうございます^^

わかりにくくてごめんなさいm(_ _)m
妄想あるところセラミックおじさんさん現る(笑)

久々に本人達の妄想になりました。
ちょっと心配なので希望を込めて・・・
実際はあ~ちゃんが一番疲れている気がします(>_<)

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