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やさしい連鎖

この国に来るのは久しぶりだった。
今回も街の散策を楽しんだ。
海外へ来るとたくさん歩くことにしている。
その方が発見が多いし、その国のことがよくわかるからだ。

歩道の郵便ポストの投函口が、なぜ車道側にあるのかを考えながら屋台に入った。
アヤシイ香りの料理を慎重に口に運びながら、賑やかな会話に耳を傾ける。
この国の人は呆れるほどよくしゃべる。
電車やバスは小学校のように大騒ぎだし、タクシーの運転手は絶えず携帯でしゃべりながら運転している。
話している内容はあまり解らないが、喜怒哀楽は伝わってくる。
それでも十分楽しい。
いや、それくらいの方がいいのかも知れない。

街角の風景を撮りながら一日中歩き、落ちつけそうな公園を見つけた。
心地よい疲れを感じながら、花壇の脇に腰を下ろした。
夕食は何を食べようか・・・
少年たちがスケートボードの練習をしている。

気が付くと、すぐそばに30代半ばであろう男性が立っていた。
そしてニコニコしながら話し掛けてきた。

「アナタハ ニホンカラ キマシタカ?」




カタコトの日本語。
またコピー商品の売込みだろう。
手を振って追い払おうとしたが、ニコニコしながらまた話してきた。

「イッショニ ゴハン タベマス」
「オイシイミセ シッテマス オゴリマス」

え?なにこれ?なんで?
どう考えても初めて会う男性なのに。
気持ちが悪いのでその場を離れることにした。


公園を出て、中級レベルの地元の料理屋に入った。
海鮮料理が美味しそうだ。
ビールを頼み、メニューを吟味しているとさっきの男性が隣に座ってきた。

「イッショ イイデスカ?」

あまりのフレンドリーさに躊躇していると、彼はあるものを差し出した。
それはPerfumeファンクラブの会員証だった。

ええええ!?

「コレ ミマシタ」

彼が指をさしたのは僕のバッグだった。
そこにはウサギのマスコットが揺れていた。

彼とはカタコトの日本語と筆談で4時間も盛り上がった。
その後、意気投合して誘われるままに彼の自宅にあがりこんだ。
彼の部屋にはPerfumeのポスターがたくさん貼られ、レアなグッズも飾られていた。
強い酒を飲みながら笑い転げているうちに気を失い、気が付いたら朝だった。

「メガ サメマシタカ?」

朝食のいい香りが部屋に流れ込んできた。


食後、お茶を飲みながら気になっていたことを訊いてみた。
知らない外国人をこうして誘うことがよくあるのかと。
すると、彼はニコニコしながら話した。

「アナタガ パフュームノ ファンダカラデス」

そして目を潤ませながら続けた。


彼はネットでPerfumeの映像を見て釘付けになった。
言葉はわからないけれど、彼女たちの真っ直ぐな気持ちがビンビン伝わってきた。
理不尽なことが多い現実社会で、それでも正直に生きてきた彼を勇気づけてくれた。

日本の知り合いから送ってもらうCDやグッズはあっという間に部屋を埋め尽くした。
でも、国内で探し当てた数少ないファンはネット上で会話するだけだった。

Perfumeに会いたい!
Perfumeのことを仲間と語り合いたい!
そんな想いが、3rdツアーへの参戦を決断させた。

彼は単身で日本に乗り込んだ。
初めての日本。
不安でいっぱいだった。
でも、Perfumeに会える嬉しさで何でも乗り越えられる気がした。
何度も何度もチケットを取り出しては眺めた。

さんざん迷って会場に到着したのは、もう開場時間を回ってからだった。
もうすぐPerfumeに会える!
チケットを取り出そうとした。
しかし・・・
チケットはなかった。
バッグの中身を全部路上にぶちまけて必死に探したが見つからなかった。
そんな!

スタッフに事情を話したが中には入れなかった。
会場の内外で語らう楽しそうな観客たち。
その光景を見ているうちに、涙が頬を伝った。

Perfumeに会いたい!
Perfumeに会いたい!
Perfumeに会いたい!

大音量の中で、彼女たちのダンスに酔いしれたい。
ここにいるたくさんの人たちと一緒に声援を贈りたい。
コールに応えたい。
振りをしたい。

そして・・・

「ありがとう!」と伝えたかった。

自分の不甲斐なさが悔しかった。


「どうしたんですか?」

そう呼び掛けられて、彼は慌てて涙を拭いながら顔を挙げた。
日本語はわからなかったが、気に掛けてもらっているのはわかった。
声を掛けたのはLSG、ツアータオル、リストバンドで身を固めた青年だった。
彼はチケットを無くして困っていることをジェスチャーと筆談で青年に伝えた。
青年はしばらく考え込んだ末、1枚のチケットを差し出した。

「よかったらこれ使ってください」
「え?」
「あまり近い席ではありませんが・・・」

青年はこのツアーには何度か参加しているので、今日は音漏れで楽しむからいいと言って笑うのだった。
彼の口がへの字に曲がった。
涙がボロボロとこぼれる。
子供のように泣きじゃくりながら、何度も頭を下げてチケットを受け取った。
その後3時間、彼の涙が止まることはなかった。


ライヴが終り会場を出ると、さっきの場所で青年が笑顔で迎えてくれた。

「よかったらこれから一緒にオフ会に参加しませんか?」

オフ会は20名ほどの規模だった。
若者、年配者、カップル、子供連れ・・・
同じTシャツを着ていなかったら、とても同じ趣味の人たちには見えなかった。
皆、突然参加した彼を温かく迎えてくれた。
閉店までPerfumeの話をしながら、笑い転げ、そして少し泣いた。
お土産もたくさんもらった。
夢のような時間はあっという間に過ぎていった。

翌日、飛行機の中で昨夜のことが夢だと思えてならなかった。
Perfumeのファンはなんと気持ちがいいのだろう。
自分がPerfumeのファンであることを誇りに思う。
いつかまた日本へ行こう!
今度は日本語を勉強して、もっとみんなと話をしたい。
そしてあの青年や、オフ会で優しくしてくれたみんなに恩返しをしたい・・・


彼は昨日、公園でPerfumeファンを見かけてたまらずに声を掛けた。 
大したことはできないけど気持ちだけは前に出てきた。
日本で受けた恩を、Perfumeファンに返したい。
違う人だけど、それでいいのだと思えた。
こうしていつまでも恩を忘れずに次に繋げていきたい!


それが、3人の願いだと思ったから・・・





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※この物語はいつもの激しい妄想です。






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コメント

ついにスペイン語圏まで
私の勝手な解釈だとこの都市は南米ですっ、理由はあ〜りません(笑)
猫さんの妄想文学は意外と現実だったりしますからね、ドーム前のあ〜ちゃんのケガだったりね。今回も妙にリアリティあるんだな、これが。
あまりにもリアルなので、3rdツアーがWorldツアー3rdだと途中まで思い込んでいました。どうもアタマが脳足りん状態みたいですσ(^_^;)
話が逸れてしまいました、今回のアジアツアーでも有りそうな話ですよねこれ、PerfumeのPowerって人智を超えそうですもんね。そうでなければ老若男女のファンはおろか業界の重鎮までも「ハニャ〜ン(((o(*゚▽゚*)o)))」てなるわけないですから(笑)
ちょっと猫サマ!
ホロリと流れた僕の涙を返してくださいー!(笑)

でも、実際にありそうな話ですよね。
設定や展開がとてもリアルで…。エピソードの部分部分だけなら、ツアー期間中に実際にあったかもしれません(*^-^*)

チケットを譲った心優しい青年のくだりを読みながら、僕の頭の中には、青いダウンを着た巨神兵のイメージが思い浮かびました(笑)
小生の妄想コメント
日ノ本の八百万(やおよろず)の神に恐れながら申し上げます
ここに志高き 若き3人の女人あり
かつて 蒼き巫女の装束にて 神鏡を携え グリッタアなる鎮魂歌を奉納せしものなり
このものたち 彼女らを待つ異国の人々に 日頃精進の芸道にて愛を伝えんと 大海原を渡るなり
3人とそれに従いし者たちを 守り給え 幸を与え給え


猫様、お気を付けて台湾へ。無事のお帰りを祈っています。
想い出
20年以上前,私はかの国を訪れました。空港には同胞の暮らす隣邦からの攻撃に備えた防空についての啓発があり,街中は原付の排気で息苦しく,学生街では美しの国への留学業者が隆盛で,もはやアジアの先進国のどこかの国などお呼びでないという雰囲気でした。
歴史的混乱の時期に隣邦から持って来た多くの工芸品。どうして加工したのか人間業とは思えない象牙細工などの品々を見たあと,本当にただの人づての関係に過ぎないのに時間を割いてご案内していただいた現地の方に,本当にそこらの飲食店なのに,絶品の水餃子をいただきながら私は尋ねました。
「昔の日本のことをどう思っていらっしゃいますか。随分ご迷惑をかけたと思うのですけど」
「あなたのように若い方には,お話ししても分からないでしょうね。」
その方は,完璧な日本語で,静かに笑って答えられました。
あの親切な老紳士とは,その後お礼に大分産のドンコをおくっただけで,もう連絡もとっていません。お年からしていまもお元気なのか・・・もういらっしゃらないのか・・・

かの国最大の駅の観光案内所の前で,不自由な英語で四苦八苦していた私を助けてくれたガム売りのおじいさん(案内所の若い女性は英語が完璧でアホな私に呆れてたのです)。日本語が完璧なのはおじいさんだからですよね。日本語を聞くと思わず話したくなるそうです。ごめんなさい,てんぱっててガムすら買わないで。

3人の壮挙が,海を隔てた人々の絆の礎になることを念じて止みません。
この国からかの国に赴かれる方々の,安全と出会いを祈念します。
マルタ
実は武道館2日目(だったはずww)に開演前にみなで集まっていつものようにウダウダ話をしていると・・・・・
どこからともなく現れたイケメン外国人(ジローラモさん系)。全く日本語喋れず。カタコトの英語で(向こう様も英語が母国語ではないっぽい)やりとりしてみると、なんとマルタ諸島から一人で来たと!!! え?マルタってドコ??
あ~イタリアの先っちょの諸島。。ロンドン経由で。で、チケットは日本の知人に頼んで某オクで買ってもらったと!!!
きっかけはyoutubeだそうでヤスタカ音が好きだそうで。。。マルタに近いイタリアではPerfumeは知名度ないって言ってました。
ツアーTシャツ買いたいがサイズはどれがいいのかと聞かれあーだこーだで彼は黒JPNTシャツをお買い上げ(その場で着てましたw)
なんと彼はその日のオフ会にも飛び入り参加!


ローマ公演とかもしあったら、今度は彼がホスト役に??


猫さんの記事で思い出しました・・・・


P.T.A.の会員証見せられたら問答無用で仲間ですね~
こんな奇跡のような出会いが実話のように聞こえるあたり
Perfumeの魔力でしょうか。
台湾遠征では向こうのファンの方々とも交流なされるのでしょうね。
土産話楽しみにしています!
>ヤジオショーさん
コメントありがとうございます^^

>今回も妙にリアリティあるんだな、これが。

なんか、電黒さんのコメによるとこの話にかな~り近い実話があったようですね。
ビックリです!

>3rdツアーがWorldツアー3rdだと途中まで思い込んでいました。

まあ、すぐにやってきますよ。
World Tour 3rd。
南米ですかね~
3人がサンバの衣装なんて着られたら床から立ち上がれません(//∀//)

>今回のアジアツアーでも有りそうな話ですよねこれ

あちらの観客と日本からのファンが入り混じったライヴハウス。
どんなノリになるんでしょうね。
でも、日本でやるワンマンとあまり変わらないような気もするんです。
Perfumeはどんなファンも同じように包み込んでしまう魔力がありますから(*^_^*)

>業界の重鎮までも「ハニャ〜ン(((o(*゚▽゚*)o)))」てなるわけないですから(笑)

え?大里会長も(*´∪`*)ハニャ~ンって言ってるんですか?ww
>エセオさん
コメントありがとうございます^^

>ホロリと流れた僕の涙を返してくださいー!(笑)

いえ、返しません。
だって返さなくてもライヴに行けば何度もホロリとしてるじゃないですかww

>実際にありそうな話ですよね。
>設定や展開がとてもリアルで…。
>ツアー期間中に実際にあったかもしれません(*^-^*)

あったみたいですよ!
電黒さんのコメをご覧ください(^^)/

>僕の頭の中には、青いダウンを着た巨神兵のイメージが思い浮かびました(笑)

エセオさん!大きな間違いがあります。
あの青い巨神兵は「青年」ではなく「オサーン」です( ̄∀ ̄)
>sugamoさん
コメントありがとうございます^^

sugamoさんって神官だったんですか?
なんか背筋が伸びました(^^)
ご迷惑を掛けないように注意しながら、3人がベストを尽くせるよう応援してきますね(^^)/

ご心配ありがとうございます!
>非公然のヘタレさん
コメントありがとうございます^^

いいお話をありがとうございます。
国を超えても困っている人を助けたい想いとか、一緒に楽しみたい気持ちとかありますよね。
国同士の関係が良くなくても、人間同士の愛は不変だと思います。
戦場でさえ、兵士が喜んで敵を撃っているわけじゃないはずですから。
3人が頑なにアジアツアーを敢行するのは、その愛を信じているからなんですよね。
その純粋な想いは必ず多くの人に感動を与えると思います。
心から成功を祈るばかりです。
>Electro-Blackさん
コメントありがとうございます^^

マルタってどこーーー?(笑)
いや~ビックリしました。
この妄想と似てますね。
チケは無くさなかったようですがww
でも、彼が日本で感じたものは、きっとこの話の「彼」と同じだと思います。

素晴らしい思い出話をありがとうございました(*^_^*)
>smileさん
コメントありがとうございます^^

>P.T.A.の会員証見せられたら問答無用で仲間ですね~

それだけで仲間になれる僕たちって幸せですよね。
海外で見つけた日本人より、外国人のP.T.A.会員の方が仲間意識が強いかも(笑)

>Perfumeの魔力でしょうか。

僕も魔力だと思います。
異種雑多なファンを仲間にさせてしまうんですから!

>台湾遠征では向こうのファンの方々とも交流なされるのでしょうね。

以前、台湾の方がお二人ほどこのブログにコメをくださったことがあります。
日本ではお会いできなかったんですが、今回は会えると嬉しいです。
「電脳猫」って書いたボードをぶら下げていれば見つけてくれるでしょうか・・・

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