HOME>Perfume

未来からのミューズたち

西暦2113年、日本。

科学技術の進歩は、極めて利便性の高い社会を造り上げていた。
仕事や買い物はもちろん、スポーツも家にいたままで出来る。
遊びや旅行もヴァーチャルで安全かつ理想の状態で楽しめる。

TPOに応じて相手を検索して会話をする。
モニターに映る相手の顔や声は作られたものだ。
相手が見ている自分の姿も同様である。
都合が悪くなれば新しいものに変更すればよい。

こうした社会は、効率を追及した結果だった。
人間の平均寿命は100歳を越えていたが、有限であることに変わりはない。
効率を高めることで、限りある人生を相対的に長く楽しもう!
そうした思想がベースとなっていた。
不確かなものは「悪」、計算によって創造されるものが「善」とされた。
こうして科学技術の進歩は、人間の価値観まで変えてしまった。

音楽についても同様だった。
まず、人間が「良い」と認識する音や楽曲の要素を徹底的に洗い出す。
そして、その要素を合成によって理想のレベルまで引き上げて創るのが常識になっていた。
生演奏や肉声は、もはや観賞用ではなく競技用として新しい分野が作られていた。
それは、人間の能力をどこまで合成に近づけられるかを競うものだった。

過去の楽曲は今でも楽しまれている。
ただし、その時の演奏や肉声はすべて録り直されていた。
当時のものは、社会に悪影響を及ぼすという理由で厳しい規制が敷かれていた。


しかし、人生を楽しむために創られた世界は、予想外の方向へ進んでいった。
効率化によって生み出された時間を、人々は楽しめなくなっていったのだ。
そして、犯罪と紙一重のサイバーゲームに明け暮れるようになった。

話し相手は、本当の人間なのか?
創られたキャラなんじゃないか?
それを確かめるためにその仮面を引きはがしてやろう。
窮地に追い詰めた時に、相手が垣間見せる感情の動きが楽しい。
相手が必死になるほど楽しく、相手が傷つくほど喜びを感じた。

虚構と現実の間で、疑心と退屈の処理に没頭する人々。
しかし、この世界で生まれ育った彼らは疑問を感じない。
何が足りないのかも、すでに思い出せない。


女性3人組ユニット『Perfume』が現れたのはそんな時だった。
プロデューサーのNAKATAが創る最先端の音楽と、体温を感じる3人のパフォーマンス。
その、技術と人間性の「有機的融合」に人々は釘付けとなった。

琴線に触れる合成音声には、ゆらぎや僅かなデチューンが隠されていた。
高いシンクロ率のダンスも、よく見れば微妙にズレている。
完璧な計算で作られた「完全ではない状態」に、熱いものを誘発させられた。

不思議な懐かしさに惹かれて、忘れていたものを思い出しそうな感覚。
3人の愛らしい姿や、キャラ設定にも癒される。
涙というものを、初めて流した人も少なくなかった。

こんな世界観を創出するチームはいったいどんな人たちなのか。
もしかして、異星人なのではないのか?
人々は関心を深めていった。

しかし・・・

なんと、『Perfume』は創られたものではなく生身の人間だったのだ。
僅かにズラしていたのではなく、「僅かにしかズレていなかった」のだ!

信じられない!
このためにどれだけの時間を費やしたと言うのだ。
どれだけ苦しみ、どれだけ悩んできたというのだ。

しかしその驚きは肯定的なものではなかった。
そんな非効率なものを認めるわけにはいかないのだ。
素顔を晒し、汗をかき、頭を下げる。
夢、一途、努力・・・?
そういう不確かなものを排除してきた歴史が、今の社会を創ったというのに・・・

最初から実態を晒しているPerfumeは、自ら逃げ場を閉ざしている。
そのあまりの潔さを前にして、動揺するほど敗北感に苛まれる。
Perfumeの出現はこの世界の脅威だった。
世界を支えていた価値観が急激に崩れ出した。 

そして、Perfumeは忽然と姿を消した。


・・・


「ちょっと遅すぎたみたいね」
「気づいてほしかっただけなんだけど」
「もっと早くに手を打たないと・・・」

いつまでも、人が人らしくあるように。
いつまでも、人と人が繋がっていられるように。
いつまでも、音楽が人の心を豊かにできるように。


1990年、日本。
六畳間に置かれた勉強机の引き出しが開いた。
そこから閃光を伴って3人の女性が出てきた。
部屋の隅では、少年が目を丸くしている。
3人は少年を愛おしそうに見つめた。
セミロングヘアの女性が口を開いた。

「NATAKAさんの・・・ひいおじいさんですよね?」
「え?」
「私たちは必要な時間を掛けて、あなたにもう一度出会うの」
「・・・」
「私たちに気が付いてね」

そう言うと、3人は光に包まれながら幼児のように小さくなると窓の外へ弾け飛んでいった。
聡明な少年は、漠然とした使命を感じ取っていた。
そして3人の姿を決して忘れないことを誓った。


13年後、彼はひとつのチームと出会い、未来が変わりだす。









mmyy5.jpg 








*************************************************

これはブログ主の激しすぎる妄想です(笑)







関連記事

この記事のトラックバックURL

http://electrocat.blog113.fc2.com/tb.php/825-edbbe18c

コメント

お見事。

Perfumeのファン層が極めて多様性を示す理由の一つは、年代・性別を越えた、本来、人が憧れる・感動する、要素を備えているからではないでしょうか。ただし、それに「気付く」または「はまる」には感性が必要なので、大きな集団になりにくいのではと思います。
号泣です!
中盤から涙が流れて流れて… 結末いたっては…あきませんわ
涙で本当にモニタが歪んで見える…

電脳猫さんの脳みその中を覗いてみたい

っていうか、今度、ゆっくりと呑み語りましょうよ
>sugamoさん
コメントありがとうございます^^

>年代・性別を越えた、本来、人が憧れる・感動する、要素を備えているから
>それに「気付く」または「はまる」には感性が必要

なるほど。
Perfumeのコアにあるものは、普遍的な美だと思います。
だからファンは多様性を示す。
普遍的だから誰の心にも響くはずなのに、ファンが大きな集団にならないのは・・・
Perfumeを必要とするタイミングがあるからだと思います。
もしかしたら、Perfumeファンが大きな集団にならない方が、社会の健康度は高いのかもしれませんね(笑)
>セラミックおじさん
コメントありがとうございます^^

>電脳猫さんの脳みその中を覗いてみたい

じゃあ、今度ドライバーを持ってきてくださいね。
で、いつ東京に来ますか?
僕がそっちへ行くときはご連絡しますね!
その時は二人語りを配信しましょうかね~(^_-)

ぜひ、やりましょう!
早く、北海道に来てくださいよ〜

えっと、この記事にinspireされてRespectして、Pakutta動画を作成してみました

彼女たちの最終到達点です
http://youtu.be/a7WveDCRzi8
悲しい未来ですねぇ…
やっと時間が取れて精読させていただきました。
もしもPefumeが世に出ていなければ100年後の未来は何と悲しい様相を呈しているのでしょうか、感情の起伏を悪と見なし否定し計算され尽くした味気ない人生を是とするなんて…。
そしてそれからわずか86年後、青かった地球は干上がりバンアレン帯は砕け散り宇宙からの様々な放射線にさらされ砂漠惑星となり、滅亡のカウントダウンが始まった頃ヤマトはコスモクリーナーを求めてイスカンダル星へ旅立つのですね。

あっ、話が横道にそれてしまいました。失礼しましたm(_ _)m

なるほどね、ナカタ氏のひ孫がPrefumeに気づいたときには遅すぎたんですね、だから自ら時空を超えてひいじいさんである中田ヤスタカに会いに来たんですね。
でも、「アナタには未来を救う使命がある」と言わずに「私たちを見つけてくださいね」というところが彼女達らしいんだな。未来人であってもPerfumeらしさを維持しているんですね、まぁ当然かも知れませんが。
いやー、サスガP文学の権威である電脳猫さんですね、感服いたしました。
今から100年後の世界にナカタ氏のひ孫を登場させるとはワンジェネレーション30年と計算するとほぼ一致しますかね、ただ中田ヤスタカさんかなり遅い子持ちなんですね。(ジョーダンでしゅ)

今日は未来のミュージアムのフラゲ日、MVを見ていたらなるほどな、と思うコトしきりでした。
たぶん、私たちがPerfumeに出会って明るい未来(老後なんですけどね)を感じる(少なくともそう生きようと思った)ようになれたように、「ドラえもんの主題歌だ」と言ってこのCDを聴いた子供達が人間らしい未来にしていけると嬉しいですね。
また意味不明なコメントになってしまいました。…
>セラミックおじさん
コメントありがとうございます^^

>早く、北海道に来てくださいよ〜

いきたいです~
セラミックさんが札幌に来れる時じゃないとダメですね。
行ける時は事前にご連絡しますのでぜひ(^^)/

>この記事にinspireされてRespectして、Pakutta動画を作成してみました

拝見しました。
そして感動しました~(T-T)
やっぱセラミックさんは・・・

右翼じゃわwww

>ヤジオショーさん
コメントありがとうございます^^

>100年後の未来は何と悲しい様相を呈しているのでしょうか

すでにそんな世界に向けて着実に進みだしているように思うんですが・・・
あ、ガミラスには来てほしくないですが(笑)
でもコスモクリーナーは早く作らなきゃいけませんね。
中国向けにwww

>あっ、話が横道にそれてしまいました。失礼しましたm(_ _)m

こちらこそ( ̄∀ ̄;)

>「私たちを見つけてくださいね」というところが彼女達らしいんだな。

Perfumeもヤスタカさんも必要な時間をかけて、必要な経験をして出会わなきゃいけないと思うんです。
使命や義務感やではなく、求め合うようにして・・・

>ただ中田ヤスタカさんかなり遅い子持ちなんですね。

スルドイ!
ってゆーか、そこを計算するところが和尚さんらしいww
でも、ヤスタカさんは遅いような気がしませんか?(笑)

>このCDを聴いた子供達が人間らしい未来にしていけると嬉しいですね。

そうですね。
きっと何年かして聞き直した時に、ビックリするんでしょうね。
こんなカッコいい曲だったのかと!


コメントする

管理者にだけ表示を許可する

 

Template Designed by めもらんだむ RSS
special thanks: Sky Ruins DW99 : aqua_3cpl Customized Version】