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永遠の夏休み

「夏休み」という言葉に郷愁を覚える。
それは「夏休み」が更新されていないからだろう。
社会人にとっての「夏休み」は子供の頃のそれとは別物であるからだ。

仕事量はいつもと変わらないのに強引に休みを入れる。
休み中は、詰め込まれたさまざまなイベントをこなしていく。
仕事の電話やメールに応対しながら・・・
休みが終わって出社すると、遅れを取り戻すべく山積みの業務をこなさねばならない。


小学生の頃は、7月に入るともう「夏休み」が待ちきれなくなったものだ。
僕は学校が大好きな子供だったから、長期の休みは寂しくもあった。
でも「夏休み」にはそれを上回る期待があった。
普段じゃできないことをやろう!
湧き上がる入道雲の白さと空の青のコントラストが眩しかった。
あの涼しい雲の上を端っこまで歩いて下を見下ろしてやろう!
溜りに溜まった冒険への憧れ。
「夏休み」は間違いなくそのはけ口となっていた。

中学生になると「夏休み」は部活一色になった。
球拾い、素振り、筋トレ、ランニング・・・
先輩たちのいじめにも耐えながらレギュラーの座を狙った。
アブラ蝉の声が時折嘲笑に聞こえて腹立たしかった。
隣のコートでは女子テニス部が練習をしている。
気になってチラチラとよそ見をしてはまた先輩に叱られた。
コート整備をしていると、ひぐらしが優しい声が慰めてくれた。

高校生の「夏休み」はバンド三昧だった。
音が漏れないように窓もカーテンも締め切った熱くて暗い視聴覚室。
そこを爆音で埋め尽くしては恍惚とするキチガイたち。
受験勉強よりも、ロックな生きざまが大切だと思っていた。
ロックな生きざまの意味も解ってないくせに。
文化祭ライヴであの娘に届け!なんてことばかり考えていたくせに。
窒息しそうになって窓を開けると、遠のく雷鳴をなだめるように美しい虹が掛かっていた。

大学生の「夏休み」は学年によって大きく内容が変わった。
実習とバイトで大忙しだった1~2年。
2か月半の休み中にバイトで60~70万円は稼いだ。
バブル期に便乗して鬼のように稼ぎまくった。
就活と卒論で忙しかった3~4年。
4年生の時には婚約までしてしまった。
焦燥と楽観。
社会人のイメージが持てない中途半端な日々。
舞い上がるほこり臭さの中で、夕立を待っていた。


「夏休み」という言葉とともに思い出される風景。
その風景の多くは、今だって変わらない。
でも、あの風景はもう見えない。
「夏休み」は、当時の体験と共に封印され更新を停止してしまった。

そんな「夏休み」を魅力的にしていたツールが「宿題」だったと思う。
少し頑張らないと終わらない、あの絶妙なヴォリュームの宿題。
完全に自由にはしてくれない鬱陶しさ・・・
宿題があったからこそ、焦燥感を募らせ、外への期待感をより膨らませたのだと思う。

それは今も同じなのかもしれない。

社会から与えられた「宿題」。
そこに付随する期待や責任の重圧に押しつぶされないようにもがく日々。
あの圧力があるからこそ、自分を無くさないように外へ手を伸ばす。
その手の先を握ってくれたのがPerfumeだった。

僕らは、長い夏休みを送っているのかもしれない。
もしそうなのならば、この夏休みがいつまでも終わらないでほしい・・・


あの頃も毎年そう願ったことを思い出して可笑しくなってしまった。






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コメント

うんうん
そうですね、おっしゃる通りです。
始まったばかりのあのワクワク感。ちょっと過ぎた辺りの充実感と宿題の気になり度、半分過ぎた辺りの何とも言えない切なさ。残り3日の宿題の辛さ、そして諦め感。
この記事を読んで、そんなことが思い出されました。

うん、良い記事ですよ(お約束の上から・・・)
>runrun1006さん
コメントありがとうございます^^

>始まったばかりのあのワクワク感。ちょっと過ぎた辺りの充実感と宿題の気になり度、半分過ぎた辺りの何とも言えない切なさ。残り3日の宿題の辛さ、そして諦め感。

「夏休み」というワードからたくさんの風景や心情が思い出されますね。
しかも、とてもはっきりと。
それだけ「夏休み」は特別なものだったんですね(^^)

>うん、良い記事ですよ(お約束の上から・・・)

早くrunちゃんの文章力に追いつけるよう精進します!(下からw)

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