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きっかけは、アメリカで設立されたIT企業『high-miX』のCMだった。

『high-miX』は、ソフトウェア大手とハードウェア大手の発展的なM&Aだった。
PCは、ハードとソフトの協力的な進化のよるシナジーで勝負する時代になってきた。
その路線で寡占化を推し進めるガリバー企業の前に、今回の『high-miX』が立ち塞がる構図だった。

デビューCMの監督にはリドリー・スコットが起用された。
そのイメージキャラクターとして大抜擢されたのがPerfumeだった。
リドリーはPerfumeの『WORLD TOUR 4th』に参戦していた。

CMは90秒ver.のみが作られた。

モノクロの映像。
ライヴハウスの客席は、表情の乏しい観客たちで埋められている。
開演前、彼らはタブレットPCで過去のPerfumeのライヴを観ている。

ステージの奥の大きな扉が開いた。
真っ白な光と共に激しい風が吹き込み、3人のシルエットが浮かび上がった。
観客のタブレットが光りながらリセットされていく。

音楽が始まる。
3人にスイッチが入り、機械のように正確に踊りだす。
観客たちはタブレットを通して目の前のステージを観ている。

それぞれハードウェア、ソフトウェア、ユーザーをイメージした3人。
見事なシンクロは新会社の理念を、時折見せる複合的な表現は無限の可能性を表現していた。
Perfumeは観客の心を、熱く、優しくノックをし続ける。

やがて、無表情な観客たちの体がワナワナと震えだす。
すでに自分の体をコントロールできなくなってきたのだ。
戸惑う観客。
そして熱いものが頬を伝った。

その滴がタプレットの画面に落ちると、そこには見たことのないショートカットが現れた。
観客たちがそのショートカットを同時にタップする。
すると、画面から強烈な風が吹き込み、彼らは巨大化するタブレットに飲み込まれてしまった。

カラフルな光が飛び交うライヴハウスで観客たちが熱狂している。
活き活きとした笑顔と大歓声の光景をバックに文字が重なる。

「join us!」


CMの配信が始まると問い合わせが殺到した。

「あの3人は誰?」
「あの曲は何?」

日本のPerfumeというユニットらしい。
ライヴがヤヴァイらしい!

そして、このCMは「解禁」の合図でもあった。
Perfumeには、世界中のクリエイターからオファーが殺到した。
彼らはカンヌ国際広告祭やWORLD TOURでPerfumeを観て以来、この時を待っていたのだった。

フランスではPerfumeをモデルにしたアニメが始まった。
イギリスではPerfumeの声とキャラクターによるボカロが販売された。
中国では京劇とPerfumeを融合させた「電音京劇」が人気を博した。
ブラジルではPerfumeが芸人をメッタ切りにするコメディ番組が始まった。
インドではPerfumeの映画がシリーズ化された。
ブロードウェイではPerfume主演のミュージカルが興行成績を伸ばしていった。

こうしたムーヴメントは、かつて日本で起きた「Perfume現象」を思い出させた。
それは、Perfumeがジャンルや性別、年代を越えて幅広い層を夢中にさせる現象だった。
今度はそれが地球規模で起きているのだ。
この現象はやがて「WORLD Perfume現象」と呼ばれるようになった。

Perfumeは活動の主軸を海外へ移していった。
外国の雑誌やTV出演も増えた。
FC会員の数も、世界中で100万人を越える規模になっていた。

一方、少し残念な状況も発生していた。
日本国内のFC会員はピーク時の7万人から3万人程度へと半減してしまったのだ。

日本のファンは、Perfumeが世界中で愛されていることを誇らしく思っていた。
彼女たちが夢を叶え続けていることが嬉しくてしかたなかった。
それはファンの夢でもあった。

しかし現実的な部分で複雑な想いも抱いていた。
日本での活動時間が減った分、ファンとの接点も減ってしまったからだ。
ワンマンだけではなく、キャンペーンやフェスの出演も減っていった。
海外まで追いかけられるファンはほんの一握りだった。
Perfumeは日本だけのものじゃない。
世界の宝なんだ。
頭では解っているのに・・・
遠いところへ行ってしまったという想いが強かった。

そうして3年が過ぎた。

Perfumeを構成する様々な要素は、各国の感性を刺激し続けた。
中でも、伝統とハイテクが高い精神性を伴って共存している表現が賞賛された。
この精神は「Perfumism」と呼ばれ、芸術界のみならず各国の都市計画にまで影響を及ぼした。

こうしてPerfumeが世界に与えた影響は計り知れなかった。
いくつかの国ではすでに現代史の教科書に取り上げられている。

ところが、ここで予想外の現象が起きた。
Perfumeへのオファーが減少していったのだ。
それはPerfumeと融合した新しいカルチャーが独自の進化を遂げた結果だった。
浮世絵の表現を取り込んだ絵画が、洋画として自立したように。

こうしてPerfumeは活動の軸足を再び日本に戻した。


「Perfume JAPAN TOUR」

それは日本全国のライヴハウスを巡るツアーだった。
日本のライヴハウスでのワンマンは実に10年ぶりだった。
その話題性とは裏腹にチケットの売れ行きは芳しくなかった。
FC枠のチケットが大幅に売れ残ったため心配されたが、一般発売時には完売した。
アンチはこぞって「オワコン」とまくし立てた。
しかし、実際にはFC会員が減っているだけでファンが減っているわけではなかったのだ。

ツアーの初日はZEPP TOKYOだった。
最初の4曲が終わり、自己紹介をした直後だった。
上から落ちてきた何かが、あ~ちゃんの頭にポソッと乗っかった。

あ「何じゃろ?」

頭の上のものを手に取ってみるとそれは折り鶴だった。
羽のところにメッセージが書き込まれている。

「おかえり!」

見覚えのある署名・・・
ずっと昔から支えてくれているファンの一人だった。
あ~ちゃんの目からボロボロと涙がこぼれた。

か 「どしたん?」
の 「何?何?」


あ~ちゃんに駆け寄り、折り鶴を見た2人も両手で顔を覆った。
そんな3人の上から次々と折り鶴が舞い降りてきた。
いつのまにか『微かなカオリ』のインストゥルメンタルがかかっている。
純白の花紙で折られたおびただしい数の鶴。
3人の顔を思い浮かべながら、ファンたちがコツコツと折ったものだった。
折り鶴の羽には、一つ一つメッセージが書き込まれていた。

「おかえり!」
「おかえり~ヽ(*´∪`)ノ゛」
「おかえりーー!(o≧∀≦)o」

「夢を叶えてくれてありがとう!m(_ _)m」
「ずっと待っていました(*^_^*)」
「僕たちもPerfumeの一員だからね!」

「おかえり!o(≧▽≦)o!!!!」
「おかえり~~(T-T)」

日本には日本独自のPerfume worldがある。
僕たちはそれをいつまでも大切にしていくよ!
そういうメッセージだった。

泣きじゃくる3人がモニターに大写しにされた。
観客たちが素晴らしくシンクロして叫んだ。

「join us!」

温かい歓声と拍手が彼女たちを優しく包んでいった。
Perfumeはここからまた新しい進化が始まる。



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この物語はフィクションであり、作者の激しい妄想です(笑)







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