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GAME

Perfumeの楽曲の全タイトルを入れ込んだショートショートです。
稚拙で強引ですが、まぁそれが僕らしいのかと居直っています(笑)。

ただし、一つだけ出てこないタイトルがあります。
さてその曲はなんでしょうか^^(※「不自然なガール/ナチュラルに恋して」までです)
読み終わってからその曲の歌詞を読むと、主人公の気持ちを歌っているようにも取れます。
では、長文ですのでお時間がある方はどうぞ^^ 

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『GAME』 

 ファッション誌『ジューシーフレグランス』3月号に今年も人工遊星『エレクトロ・ワールド(エレワ)』の特集が組まれた。エレワは既成概念を次々に突き崩し、常に新しいモデルを発信する注目の星だ。この星には生物は存在せず、動くもの全てが一人の管理者によって遠隔制御されている。エレワの根本理念は「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」。宇宙最高の"匠の技"をプログラムされたアンドロイド達が、料理、工芸品、美術品などを提供し、最高を求める他星の客が支払う惜しみない対価によって経済が潤っている。自星の軌道を自由にコントロールできる強みを活かし、大昔の行商スタイルを取り入れた販売モデルも、成功をさらに大きなものにしている。地球から観光できる位置まで近づくのは毎年5月頃。そのため、毎年この時期にはメディアで大きく取り上げられるのだ。

今年は「食」のキャンペーンを開催しており、星都コンピューターシティには、例年以上においしいレシピが溢れているらしい。中でも、人気店『wonder2』が作る"スウィートドーナッツ"の記事は彼女の目を釘付けにした。

「これ食べたいな~」

ジェニーはそう言うと、僕の腕に両手を巻き付け、甘える視線で僕を見上げた。ああ、これに弱いんだよなぁ・・・僕は魔法に掛かったように「よし!買ってきてあげるよ。」と、胸を叩いてしまった。そして翌日には愛機「Butterfly」に乗り込むとエレワを目指してTake off、大気圏を後にした。


 速度計の針はSpeed of Soundに固定されている。順調に進んではいるが、地球を離れてすでに1週間が経過している。エレワはもう近いはずだ。23:30か…僕が住む町の時間を標準時間にセットしているが、寝ても覚めてもNIGHT FLIGHTなので時間感覚も狂ってしまう。今日は退屈しのぎに、前からやってみたかった女装をしてみた。ファンデーションを塗り、Perfumeにむせながら、スカートをはいてワンルーム・ディスコに興じたが、さして面白くもなく、機内食のビタミンドロップを口に入れた途端、味気ない現実へ引き戻された。僕はベッドに入り、オーディオのスイッチを入れた。昔の流行歌「Baby cruising Love」の優しい歌い出しが、殺風景な機内に潤いを届けてくれる。この曲を聞くとなぜかジェニーを思い出す。
 
ジェニーは元気にやっているだろうか。思えば彼女との馴れ初めは不思議な縁だった。僕と同じゲームソフト開発を生業とする彼女とはNETの掲示板で知り合い、まもなく熱い議論を闘わせたり、励まし合ったりする仲になった。特に彼女の最初のヒット作『OMAJINAI★ペロリ』は僕の陰なる支援がなかったら陽の目を見なかっただろう。その彼女が、半年前になんと僕の隣のユニットに引っ越してきたのだ。その事を彼女のblogから察した時は胸が高鳴った。なぜなら、挨拶に来た彼女に一目惚れしてしまった僕は、何とか付き合えるきっかけを作れないものかと悶々としていたからだった。綺麗に揃えられた前髪とさらさらのロングヘア、笑うと三日月のようになる目、華奢ですらりと長い手足、プラスティッキーボイスで甘えるような言動・・・こういう人を小悪魔と呼ぶのだろうか。彼女も僕の正体を知ると、もう何年も前からそうだったかのように、自然と彼氏彼女の関係になった。仕事上ではライバルでもあるから、お互いのedgeを効かせてぶつかり合う事もあるが、仕事を離れると優しくなるツンデレなところがまたかわいい。このドライな僕がlove the worldを謳歌している姿をいったい誰が想像しただろう。
 
そう言えば、恋愛型PVRG(パーソナルバーチャルリアリティーゲーム)『不自然なガール』のプレゼンは成功しただろうか。前作でサブだった"セラミックガール"というキャラが思わぬ大人気となり、このキャラをメインにした続編開発のオファーが来たのだった。彼女は、キャラクターのリアルな作り込みには天才的なセンスを発揮するが、少々短気なところがあるのが心配だ。万が一ダメ出しされていたらさぞやジェニーはご機嫌ななめだろうな。そのふくれ顔を想像すると、愛しくてニヤニヤが止まらない。
 気がつくと機外重力計の針がZero Gravityから徐々にプラスへ進んでいる。大きな引力が働いているという事だ。窓の外には無数の電飾でダイヤのように煌めく星が迫っている。エレワはあれに違いない。僕は着陸に備えてカウンターアトラクションを解除した。


 
コンピューターシティのスペースポートに着陸すると、僕は新鮮な空気を求めて転げるように機外に飛び出した。人工太陽の陽射しは意外に心地よく、縮こまった身体も新芽のように伸びていく。街の中心まで10kmほどはあるはずだが、超高層ビルがすぐ近くに見える。

「・・・Take me Take me・・・」

突然頭の中に声が届いた。あの街で誰かが僕を呼んでいるのか?声に導かれるように、僕はスーパージェットシューズをオンにすると猛スピードで街に向かって走り出した。


 w
onder2はこの星で最高層を誇るSEVENTH HEAVENというタワーに入っている。街のどこからでも見えるため迷わずに辿り着く事ができた。

 プライベートエレベーターで雲の中に突き刺さる上層階へ。扉が開くとそこはすでに店内だった。『ナチュラルに恋して』というキャッチが書かれた大小カラフルなプレートが店内のいたるところに装飾されている。天然素材を生かした菓子のキャンペーン中のようだ。こじんまりしているが、華やかで楽しい雰囲気は期待を裏切らなかった。店内に流れるポリリズムのBGMも異国情緒を演出してくれる。ピンクのメイド服を着た女性が、僕に気づくと温かい笑みを浮かべて近づいてきた。

「やっぴー♪ここのお菓子はどれもめっちゃ美味しいけ、ほんに迷うてしまう思うんよぉ。あたしが案内係じゃけぇ、何でも聞いてつかぁさい。」

不思議な話し方をする娘だ。

「こっちを見てみんさい!」

と、彼女は自慢げにショーケースを指差した。Twinkle Snow Powdery Snow、チョコレイト・ディスコ、Kiss and Music・・・洒落たネーミングだけではなく、実に魅惑的な菓子がずらりと並んでいる。試食もOKだ。これは楽しい。鼻歌まじりに目当てのものを探していると、一番端にある空のトレイが目に留まった。『スウィートドーナッツ』と書かれた商品プレートの肩には『本日売り切れ』のクリップが付けられている。ここまで来てまさか売り切れとは!僕は恐る恐る尋ねた。

「あの、これが欲しいんですけど今日はもう作らないんでしょうか?」

「あー!あんたがそうじゃったんか!」そう言うと彼女は「議長~!来んさったよ~!」と言いながら店の奥へ引っ込んでしまった。議長って・・・それを言うなら店長だろ。ところがまもなく出てきた女性は黒いマントを羽織り、胸には「議長」と書かれたプレートを付けていた。ショートヘアでボーイッシュ、モデル級の美形だ。

「お待ちしてました。あなたのドーナッツをちゃんと残してありますよ。ただ・・・お支払いは大丈夫ですか?」

「あ、大丈夫ですよ。シークレットシークレット社のカードで支払うつもりですが・・・使えますよね?」

「いえ、お金ではないんです。スウィートドーナッツはあなたのThe best thingとの交換となります。」

何だって!?僕のThe best thingと言えばジェニーだ。彼女にプレゼントするためにドーナッツを買いに来たのに、ドーナッツを買うために彼女と別れなければならないなんてナンセンスだ。

「何を言ってるんですか?わけがわかりませんよ。気味が悪いのでもう帰ります。」

「わかってないですね。これは単なる儀式みたいなもので・・・リニモに選ばれたらもう帰れないんですよ。」

彼女はそのかわいらしい顔にplastic smileを浮かべると、呪文のように言い放った。

「すべて捨てなさい!」

すると先ほどのメイド服の女性が現れ、僕は後ろ手にねじり上げられた。天使のような笑顔に似合わず、なんて強烈なパワーだ。そして、痛さのあまり開いた僕の口にドーナッツの破片が放り込まれた。一瞬にして口いっぱいに広がる甘い香り、濃厚なのに上品な味付け、癖になる食感・・・世の中にこんなに美味しいものがあったなんて!まともな食べ物は1週間ぶりだったこともあり、僕は不覚にも涙を流してしまった。

「あなたは素直な心をお持ちですね。さすがはリニモに選ばれた男性です。」

「何をわけのわからない事を言ってるんだ。そのリニモってのは誰なんだよ!」

「この世界はリニモ、正しくはリニアモーターガールが動かしているの。私達はみな彼女にデザインされ、命を授けられました。でも、リニモは女性型だから男性の情報は元々インプットされてないんです。このままではリアルな男性型アンドロイドはいつになっても星産化できません。だからリニモは理想的な男性を見つけると恋人にして、男性の情報を蓄積しているんです。あなたはリニモの新しい恋人に選ばれたんですから、今の恋人とは別れなければならないんです。」

「そんな事は僕には関係ない!帰らせてくれ!」

「いいえ、あなたはもうドーナッツを食べてしまいました。そのお代は支払っていただきます。」


次の瞬間、足元の床がなくなり、僕は暗闇の中をどこまでも深く落ちていった。


「ロニー!マカロニ!目を覚まして!」

ジェニーが僕を呼ぶ声が聞こえる。僕の名前ロニーを彼女は面白がってマカロニと呼ぶ。目を開けると愛しいジェニーの顔が目の前にあった。彼女の説明によると、僕はゲーム中に発生したショートのショックによって気絶してしまったらしい。そう言えば、クローゼットの奥から出てきた古いモノクロームエフェクト(ドライビングシミュレータに組込むと、車外の風景を過去の風景に差し替えられ、タイムスリップしたような感覚を味わえるユニット)が懐かしくて、最新バージョンの『コンピュータードライビング』に繋いで遊んでいたんだった・・・それにしても、意識を失っていたのがたった5分くらいだった割には、ずいぶんとリアルでスケールの大きな夢を見たものだ。あれがイミテーションワールドだったというのか…。


例のPVRGはもう少し練り直す事にしたの。」

コーヒーを淹れながらジェニーは口を開いた。

「そうなんだ・・・完成度高いと思うんだけどなぁ。」

ああ、こうして彼女と会話をする幸せな時間は、ずいぶんと久しぶりな感じがする。しかし、彼女の話を聞きながらも、夢の事が頭から離れない。あれはいったいどこまでが現実でどこからが夢なんだろうか?雑誌の記事は現実なのか?エレワやコンピューターシティは実在するのか?

「まず、この前話したシークレットメッセージっていう発想を試してみたいの。これは匿名の第三者、まぁ恋敵ね、からの挑戦状で、バトルステージに入るキーになるの・・・」

いや待てよ。あの夢をゲームにしたら面白いんじゃないか?サイバースペース自体をユーザーが自由に作り上げ、その世界で自分の分身が生活する。星、国、街、世界観、ストーリー、登場人物、自分自身に至るまで、全てを自由に設定できて、登場人物は学習能力もある。

「・・・ねえロニー、私の話聞いてる?」

プレイヤーは、現実ではできないような冒険、夢の実現、理想の人生をそこで体験する事ができる。願いを叶えるゲーム!商品名は・・・『Dream Fighter』なんてどうかな。

「ねえ、ロニーったらぁ………イジワリュ。」

あ、ジャンルごとにシリーズ化した方がメモリーをリッチに使えるから、よりリアルな状況設定が可能になるな。例えば恋愛体験版は・・・『彼氏募集中』とか、うーん・・・『Puppy love』なんてタイトルで・・・これはいける!ジェニーと力を合わせれば必ずできる。そうだ!これが完成したら彼女にプロポーズしよう。ああワクワクしてきた!すぐに取り掛かろう。

「だめだめ!そのゲームは私の真似だから。」

「え?」

突然頭の中にジェニーの声が割り込んできた。

「あなたは私が作った理想の恋人なの。でも、この世界の仕組みに気づきかけているのね。きっと、さっきのショートの時にこのゲームのプログラム情報が漏れたんだわ。私の話もちゃんと聞いてくれないし・・・残念だけど設定を変えるしかないわね。」

「え、ちょっ、待って、何を言って・・・」


次の瞬間、足元の床がなくなり僕は暗闇の中をどこまでも深く落ちていった。


リアルジェニーであるリニモがリセットボタンを押したのだった。




 

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コメント

えっと
I still love Uですかね・・
あっ!akihabaloveもないか(笑)
うまし
初コメント失礼します。いつも興味深く拝見しております。
今回は面白い趣向で、一気に前文読みました。入ってない曲は分からず・・・
「すべて捨てなさい」に吹きましたww
短編SF小説として、結構いい仕上がりなのでわ?(^^)
No title
これはスゴイ。アイディアも素晴らしいですが、ちゃんと短編SFとして成立している上に、読みごたえもあります。昔読んだ星新一氏を彷彿とさせます。創作にかなり時間がかかったんでしょうねえ。とてもGood Jobです!
素晴しいです
いつもROMさせて頂いております。初めまして。
今回の試み、大変面白く拝見いたしました。いつも独特な発想と妄想を楽しみにしてます。
>pta-perfume さん
早速のコメントありがとうございます^^

また、長文にお付き合いいただきましてありがとうございます。
さすが!すぐにわかっちゃいましたか^^;
akihabaloveはコラボなので除外しています。
>噛みの子さん
はじめまして!
コメントありがとうございます。励みになります^^

>入ってない曲は分からず・・・

ああ、残念!正解は足つぼマッサージですw

>短編SF小説として、結構いい仕上がりなのでわ?(^^)

いや~、嬉しくて涙が出そうですよ(T_T)
ご評価いただきましてありがとうございます。
妄想がお嫌いでなければ(笑)どうぞまたお越しください^^
>ngo900jpさん
いつもコメントありがとうございます^^

恥ずかしくなるほどのお褒めの言葉、ありがとうございます!
この作品は2月にはほぼ完成していたんですが、新曲のタイトルも入れたかったのでこういうタイミングでの公開となりました。タイトルリストとにらめっこしながら、パズルのような制作はとても楽しい作業で、作品自体は意外とスラスラと一気に完成(2時間くらいでしょうか)しました。
んがしかし!
その後のチェックに想定以上の時間を取られてしまいました(>_<。)アウアウ。矛盾点の修正、状況説明の修正、あと、強引さを緩和させたり^^;
携帯に送っておいて、通勤電車で修正作業を繰り返すこと2ヶ月・・・まだ心配もありますがキリがないので公開!といったところです。
不安や心配もあっただけに、コメントをいただいて安心しました。

パフュ3人の名前は出てきませんが、どれが誰とわかるような書き方をねりねりしている時のニヤニヤ顔は、決して誰にも見せられるものではありませんw
機会があればこのような事もやっていきますので、お付き合いいただければ幸いです!
>runさん
はじめまして!
とても励みになるコメントをありがとうございます。

パフュのニュースを伝えるblogは多いので、そこに僕なりの発想や妄想(笑)を加えて公開するように心がけています。
ただ・・・妄想とキモさが度を越す時は、ぜひとも注意してやってください^^;
今後ともよろしくお願い致します。
はじめまして
Perfumeファンの者です。
いつもこのブログを見させて頂いています。

すごく「Perfume愛」が溢れているなと
感激しています。

この短編小説(?)、ショートショートはとても
よくできていて、感心しました。

1曲だけないのは「I still love U」ですね。
あと、間違いが一つ。

>『スウィートドーナツ』と書かれた商品プレートの肩には・・・

正しくは、「スウィートドーナッツ」みたいです。

こだわりすぎですかね(笑)

これからもコメントさせていただきますので、
よろしくお願いします。
>パフュ。さん
あ~~orz
その辺けっこうこだわってまして、全曲オリジナルの表記に合わせていたはずなのに・・・
何度も確認したはずなのに・・・
ご指摘ありがとうございます!
最初は全部合っていたはずなんですけど書き換えたりしているうちにきっと間違えちゃうんです。
って言い訳です^^;
全部修正しました。

はじめまして^^
コメントありがとうございます。
気に入っていただけて感激です!

>すごく「Perfume愛」が溢れているなと

いえ、はっきり言ってくださって構いませんよ・・・キモイとw

>1曲だけないのは「I still love U」ですね。

はい正解です!
rescue me なんていえない 目を閉じて 眠りにつく・・・

どうぞまたお越しください♪
No title
これは伝説になりますよ。
やりましたね。
ショートショートは星新一さんのイメージが強いですが、今日からはelectrocatさんですかね。

いいなぁ、モテモテじゃないですか。
ちょっと2人のツンツンした感じも、ゆかちゃんのデレデレな部分もあり、アニメ好きな友達の気持ちが分かった気がしますね。ツンデレに弱いんですよ、自分は。
>Perfume好きなJ-POP世代さん
いつもコメントありがとうございます^^

>これは伝説になりますよ。

はっきり言わせていただきます。な・り・ま・せ・ん!(笑)
今後もいろいろ試しながら質を上げていけるよう精進します!

>いいなぁ、モテモテじゃないですか。

はい、そーゆー妄想もかなりぶっ込んであります(笑)。

>ツンデレに弱いんですよ、自分は。

なんだお仲間じゃないですか^^でものっちってツンデレでしたっけ?
>ngo900jpさん
コメントの訂正ですm(_ _)m
>作品自体は意外とスラスラと一気に完成(2時間くらいでしょうか)

正しくは12時間くらいです。なぜか「1」が消えていました。こんな量を2時間で書けたらプロになれますよね^^;
訂正してお詫び申し上げます。
素晴らしい
>名無しさん
コメントありがとうございます^^

ご評価いただきありがとうございます!
とても嬉しいです^^
次回はもうちょっとライトなものにしようと思っております。いつになるかわかりませんが^^;
その時はぜひまた感想をお聞かせくださいm(_ _)m

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